著者の所属・活動拠点の国は、ノルウェーです。

掲載誌:Aquaculture Economics & Management

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

魚や貝などの水産物は世界各地で食べられていますが、その消費量が何によって左右され、今後どの地域で需要が伸びていくのかは、国や地域によって事情が異なります。この研究で著者らは、水産物の消費を決める要因を明らかにし、長期的な需要の伸びを世界全体、地域別、大陸別、所得水準別に推計することを目指しました。

何をどのように調べたか

研究チームは、1990年から2022年までの124か国のデータを用いました。分析には、すべての国のデータをまとめて扱う基本的な回帰分析に加え、「固定効果モデル」と呼ばれる手法を使っています。これは、国ごとに異なる、データには表れない事情(食文化や地理的条件など)の影響を取り除いて比べるための方法です。

さらに、価格と消費量が互いに影響し合うことで価格の効果を正しく測れなくなる問題(内生性)に対処するため、「操作変数法」を組み合わせた分析も行い、需要を動かす要因を確かに見分けられるよう工夫したと報告しています。

こうして得られた「弾力性」、つまり所得や価格などが変化したときに消費量がどれだけ反応するかを示す値を用い、需要指数という考え方に基づいて長期的な需要の伸びを計算しました。

主な結果

論文によると、世界全体で見た場合、水産物の消費は所得(経済成長)、価格、そして貿易の開放度によって左右されていました。ただし、地域別、大陸別、所得水準別に分けた分析のすべてで一貫した影響が見られたのは、所得だけでした。

このほか、水産物の代わりとなる食品の価格や、人口に関わる要因も関係していましたが、その影響の現れ方は分析の設定によってまちまちだったと著者らは述べています。

長期的な需要の伸びについては、地域によって大きな差がありました。最も速い伸びが見られたのは東アジア、アジア全体、そして高位中所得国(中所得国のうち所得が比較的高い国々)でした。

研究が示すこと

この研究は、世界の水産物需要を形づくるうえで、経済的な要因と人口に関わる要因が重要な役割を果たしていることを示しています。とりわけ、どの切り口で見ても所得が消費に一貫して関わっていたこと、そして需要の伸び方が地域によって大きく異なることが、主要な知見として報告されています。

原著論文の著者・所属:Dejene Gizaw Kidane(School of Business and Economics, UiT The Arctic University of Norway)、Øystein Myrland(School of Business and Economics, UiT The Arctic University of Norway)、Dengjun Zhang(UiS School of Business and Law, University of Stavanger)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dejene Gizaw Kidane, Øystein Myrland, Dengjun Zhang. Global seafood demand in transition. Aquaculture Economics & Management 2026-08-05. DOI: 10.1080/13657305.2026.2709351. 原著ライセンス:CC BY.