著者の所属・活動拠点の国は、イランです。

掲載誌:DOAJ (DOAJ: Directory of Open Access Journals)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

傷みやすいバジルをどう新鮮に保つか

バジルはサラダや煮込み料理、伝統料理の香りづけに広く使われ、イランの食卓でも身近な葉物野菜です。一方で、葉が薄く柔らかいため傷つきやすく、保存できる期間がとても短いことが知られています。論文によると、保存中のバジルには重さが減ってしおれる、葉の緑色の色素であるクロロフィルが分解して黄ばむ、葉が腐る、褐色に変わる、香りや風味が落ちる、といった品質の低下が起こります。

著者らは、これまで温度や湿度、包装材料などの工夫が試されてきたものの、洗浄済みの生のバジルの品質を十分に保つには至っていないと述べています。そこで研究チームは、アミノ酸の一種であるシステインを葉の表面にまとわせる方法に注目しました。システインは硫黄を含む「チオール基」という構造を持ち、酸化を抑える働きや、酸化反応を進める金属イオンと結びつく性質が期待できるためです。この研究の目的は、システインの液に葉を浸すコーティングがバジルの品質にどう影響するか、そして包装内の気体組成を調整する包装と組み合わせたときにどのような効果があるかを調べることでした。

どのような条件で調べたか

研究チームは、バジルの葉をシステイン濃度0%、0.1%、0.5%の液に浸して処理しました。包装は、通常の空気のまま密封するものと、「パッシブ修正雰囲気包装」と呼ばれる方法の2種類です。修正雰囲気包装とは、包装内の酸素や二酸化炭素の割合を通常の空気とは異なる状態にして品質の劣化を抑える技術で、パッシブ型では野菜自身の呼吸と包装フィルムの気体の通しやすさによって包装内の気体組成が変化していきます。

これらの葉を4℃で保存し、保存開始時と5日目、9日目、12日目に調べました。測定したのは、包装内の酸素と二酸化炭素の濃度、酸性度を示すpH、重さが減った割合、明るさや緑・黄の度合いを表す色の数値、褐色化の程度、そして香りや食感、味などを人が評価する官能評価です。

報告された主な結果

論文によると、パッシブ修正雰囲気包装は包装内の酸素と二酸化炭素の量を減らすうえで有意な効果を示し、あわせてバジルの呼吸の速さを抑え、保存期間を延ばすことと結びついていました。

重さの減り方を包装の種類で比べると、通常の空気で包装した試料が最も大きく3.07%、修正雰囲気包装の試料が最も小さく1.88%でした。また、システイン濃度を高めると、処理しなかった対照と比べて重さの減少が抑えられ、葉が褐色に変わる反応も抑えられたと報告されています。

香りや食感、味といった官能面については、0.1%のシステインを使ったコーティングで、バジルの官能的な特性が保たれたと著者らは述べています。

研究が示すこと

著者らは、食べられるシステインのコーティングと修正雰囲気包装を組み合わせることで、包装されたバジルの品質が保たれ、最大12日の保存につながったと結論づけています。傷みやすく扱いの難しいバジルについて、安全で低コストとされるアミノ酸による表面処理と包装内の空気の調整を組み合わせるという方法の可能性を、この研究は具体的な測定結果とともに示しています。

原著論文の著者・所属:Nahid Noruzi Jajarm(Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, Ferdowsi University of Mashhad, Mashhad, Iran)、Nasser Sedaghat(Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, Ferdowsi University of Mashhad, Mashhad, Iran)、Masoud Taghizadeh(Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, Ferdowsi University of Mashhad, Mashhad, Iran)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nahid Noruzi Jajarm, Nasser Sedaghat, Masoud Taghizadeh. Effect of Cysteine and Modified Atmosphere Packaging on Maintaining the Quality and Storage Time of Green Basil. DOAJ (DOAJ: Directory of Open Access Journals) 2026-09-01. DOI: 10.22067/ifstrj.2026.97200.1542. 原著ライセンス:CC BY.