この研究は、トルコの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Clinical Science of Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
スマートフォンやパソコン、テレビなど複数の画面メディアを日常的に使いすぎてしまう「複数画面依存」は、子どもや若者の健康問題として近年注目されています。一方で、食生活の乱れや超加工食品(スナック菓子やインスタント食品など、加工度の高い食品)の摂取、摂食障害との関係については、まだよくわかっていない部分が多くあります。今回紹介する研究は、大学の保健科学系学部の学生を対象に、画面依存と摂食障害の症状、超加工食品の摂取状況、そして「食に関する健康リテラシー(食情報を理解し活用する力)」との関連を調べたものです。
この研究はトルコのエルズルム工科大学の保健科学系学部に在籍する学生233名(男性26.6%、女性73.4%、平均年齢21.1±1.6歳)を対象とした横断研究です。研究チームは対面で、摂食障害の症状を調べる質問票(EDE-Q-13)、食に関する健康リテラシーを測る質問票(e-HDLQ)、複数画面依存の程度を測る質問票(MSAS)、そして超加工食品の摂取頻度を調べる質問票(sQ-HPF)を実施しました。
研究でわかったこと
まず、対象となった学生のうち40.7%が複数画面依存に該当すると判定されました。次に、各質問票のスコア同士の関連を見たところ、複数画面依存のスコアが高い学生ほど、摂食障害の症状スコア(EDE-Q13)や超加工食品の摂取スコア(sQ-HPF)がやや低い傾向(弱い負の相関)が見られ、逆に食の健康リテラシースコア(e-HDLQ)はやや高い傾向(弱い正の相関)が見られました。
さらに、年齢・性別・欠食(食事を抜く習慣)の有無・BMI(体格指数)の影響を統計的に調整したうえで詳しく分析したところ、複数画面依存のスコアは、超加工食品の摂取スコアおよび摂食障害の症状スコアとはやはり負の関連を示し、食の健康リテラシースコアとは正の関連を示すことが確認されました。ただし、これらの関連の強さ自体は大きなものではないとされています。また、食の健康リテラシー自体は、摂食障害の症状や超加工食品の摂取とは明確な相関を示さなかったことも報告されており、研究チームは、リテラシーの高さだけでは今回見られた関連を十分に説明できない可能性があると考察しています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この結果は、「画面依存が摂食障害や不健康な食生活を予防する」ということを意味するものではありません。あくまである一時点での関連を調べた横断研究であり、原因と結果の関係(たとえば画面依存的な行動が先にあって食生活に影響したのか、その逆なのか)を明らかにするものではない点に注意が必要です。また、対象は特定の大学の保健科学系学部の学生に限られており、女性の割合が男性より多いなど対象集団に偏りがある点も踏まえて読む必要があります。今回示された相関も「弱い」ものであると報告されており、この一つの研究結果だけで結論が確定したわけではありません。
まとめ
今回紹介した研究では、保健科学系学部の学生を対象に、複数画面依存と摂食障害の症状、超加工食品の摂取、食の健康リテラシーとの関連が調べられました。その結果、複数画面依存の傾向が強い学生ほど、摂食障害の症状や超加工食品の摂取が少なく、食の健康リテラシーは高い傾向にあることが示唆されましたが、いずれも関連の強さは弱いものであり、因果関係を示すものではありません。画面依存と食生活・食の知識との関係は複雑であり、今後さらなる研究による検証が期待されるテーマといえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):保健科学系学部学生における複数画面依存:摂食障害、超加工食品摂取、eヘルシー食事リテラシーとの関連の検討(クリニカル・サイエンス・オブ・ニュートリション・2026年08月)
著者:Serkan Aslan(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Erzurum Technical University, Erzurum, Türkiye)、Özge Esgin(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Bayburt University, Bayburt, Türkiye)、Seda Nur Aktaş(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Erzurum Technical University, Erzurum, Türkiye)、Dilara Kudret(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Erzurum Technical University, Erzurum, Türkiye)、Senagül Süleymanoğlu(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Erzurum Technical University, Erzurum, Türkiye)