著者の所属・活動拠点の国は、インド、アメリカです。
掲載誌:Agribusiness
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の背景と目的
インドでは肉や乳製品への需要が高まり、それに伴って家畜の飼料をつくる産業が急速に成長しています。飼料の原料には、トウモロコシ、大豆、米、小麦、砕け米、雑穀などの農産物が使われます。食肉や乳製品の需要が増えることで、その生産に必要な飼料原料の需要も増えます。経済学ではこれを「派生需要」と呼びます。
なかでもトウモロコシと大豆かすは、鶏の飼料で最も重要な二つの原料です。著者らによると、インド国内でのこれらの生産量は、飼料用として伸びる需要に追いついていません。インドは国内生産の拡大を目指していますが、当面は輸入に頼る状況が続くと見込まれています。
研究チームは、飼料産業の成長にとって輸入が重要な役割を果たしていると考えました。そこで、飼料の製造に欠かせない農産物について、輸入がさまざまな条件の変化にどれだけ反応するかを数量的に評価することを目指しました。この反応の度合いを「輸入弾力性」といいます。著者らは、こうした分析が経済政策や公共政策を考えるうえで重要だとしています。また、食料と飼料の両方に使われる農産物について、インドの輸入需要を推計した研究はこれまで少なく、本研究はその空白を埋める試みと位置づけられています。
どのように調べたか
研究チームは、インドのトウモロコシと大豆の輸入量と、それに影響しうる複数の要因との関係を分析しました。要因には、国内総生産(GDP)のうち食料に支出される割合、都市人口の増加、輸入価格の指数などが含まれます。
分析には「自己回帰分布ラグ(ARDL)モデル」と「誤差修正モデル(ECM)」という手法を用いました。どちらも時間の経過に沿って集めたデータを扱う統計手法です。過去の値や、時間差を伴う影響を考慮しながら、変数どうしの長期的な関係を調べることができます。誤差修正モデルは、短期的に長期の関係からずれた動きが、どのように元の関係へ戻っていくかを捉えるために使われます。研究チームはこれらの手法で、長期的な輸入需要の弾力性に関わる要因を検討しました。
主な結果
著者らは、インドの経済の姿が変わっていくなかで、食料への支出と都市人口の増加が、トウモロコシと大豆という二つの重要な農産物の輸入の動きを形づくるうえで中心的な役割を果たすと報告しています。
研究が示すこと
この研究は、飼料や食料として国内で必要とされる農産物の需要と、国際貿易とのあいだにある複雑な釣り合いを浮き彫りにしています。食生活や暮らし方の変化が飼料原料の輸入にまで結びついていることを、インドのトウモロコシと大豆を例に数量的に捉えようとした研究だといえます。
原著論文の著者・所属:Dwiti Baruah Thapa(School of Business MIT World Peace University Kothrud Pune India)、Sanjib Bhuyan(Rutgers University–New Brunswick New Brunswick New Jersey USA)、Kishor Goswami(Indian Institute of Technology Kharagpur Kharagpur India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dwiti Baruah Thapa, Sanjib Bhuyan, Kishor Goswami. Estimation of Import Demand Functions of Two Key Food and Feed Commodities (Corn and Soybean) for India. Agribusiness 2026-09-21. DOI: 10.1002/agr.70160. 原著ライセンス:CC BY.