著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

発芽玄米は栄養成分を含む全粒穀物ですが、ざらついた食感が受け入れられにくさにつながると論文は説明しています。研究チームは、発芽玄米をゲル状にして立体的に成形する3D食品プリントに着目し、印刷条件が設計どおりの形を作る精度と、できあがった食品の硬さにどう影響するかを調べました。材料の配合だけでなく、装置の設定を組み合わせて調整することで、形と硬さを管理する条件を見いだすことが目的です。

何を、どのように調べたか

研究チームは、発芽させて乾燥・粉砕した玄米粉25gに、ゲルを形成する多糖類のこんにゃくグルコマンナン2.25g、カードラン0.75g、水75gを加え、加熱後に冷却して材料を作りました。このゲルをノズルから押し出して積み重ねる方式の3Dプリンターで、直径30mm、高さ15mmの円柱を印刷しました。

変えた条件は、ノズルの移動速度、外周を囲む壁の層数、内部を材料で埋める割合である充填密度、ノズルの直径の4つです。まず条件を1つずつ変えて影響を調べ、その結果をもとに、移動速度15~25mm/秒、外周の層数3~5、充填密度60~100%、ノズル直径1.2~1.8mmの範囲で条件を組み合わせました。さらに、条件どうしの影響も扱える統計モデルを作り、適した設定を探索しました。

形の再現性は、印刷物の縦・横・高さが設計寸法にどれだけ近いかを百分率で評価しました。硬さは、試料を元の高さの45%まで圧縮した際の最大荷重を、装置のg単位で表しました。実験は各条件で3回ずつ行いました。最適化では形の再現性を最大にする一方、硬さは最大化せず、実験で得られた範囲内に収める方針を採りました。

主な報告結果

研究チームは、条件を1つずつ変えた実験で、4つの設定すべてが形の再現性と硬さに有意な影響を与えたと報告しています。組み合わせを分析すると、形の再現性には特に充填密度が、硬さには特にノズル直径と充填密度が関わっていました。また、外周の層数とノズル直径の組み合わせなどにも影響があり、各設定を独立に決めるだけでは十分でないことが示されました。

モデルによる探索後、研究チームは装置で設定できる値に調整し、ノズル移動速度25mm/秒、外周の層数4、充填密度76%、ノズル直径1.5mmで確認実験を行いました。その結果、形の再現性は94.64±1.14%、硬さは314.16±25.70gでした。いずれも3回の測定の平均値と標準偏差です。著者らが報告したモデルの予測値からのずれは、それぞれ1.80%、0.50%でした。

この報告が示すこと

著者らは、発芽玄米ゲルの成形では、内部の埋め方や外周の支え方、材料の押し出し方を一緒に調整することが重要だと結論づけています。この報告は、今回の材料で形と硬さを管理するための具体的な設定の手がかりを示しています。

ただし、得られた条件は今回のゲル配合とプリンター構成に対応するものです。著者らは、試した範囲を超える条件や、流れやすさなどの性質が大きく異なる配合、別の種類のプリンターへ適用する場合には、印刷による確認が必要だとしています。

原著論文の著者・所属:Liuyang Shen(College of Mechanical and Electronical Engineering, Tarim University, Alar 843300, China; Modern Agricultural Engineering Key Laboratory at Universities of Education Department of Xinjiang Uygur Autonomous Region, Tarim University, Alar 843300, China)、Huiyu Zhang(College of Agricultural Equipment and Energy Engineering, Northeast Agricultural University, Harbin 150030, China)、Ran Liu(College of Agricultural Equipment and Energy Engineering, Northeast Agricultural University, Harbin 150030, China)、Yuhan Zhang(College of Agricultural Equipment and Energy Engineering, Northeast Agricultural University, Harbin 150030, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Liuyang Shen, Huiyu Zhang, Ran Liu, et al. Extrusion-Based 3D Printing of Germinated Brown Rice Gel: Multi-Response Optimization of Process Parameters for Printing Fidelity and Hardness. Foods(出版社:Multidisciplinary Digital Publishing Institute) 2026-11-06. DOI: 10.3390/foods15213979. 原著ライセンス:CC BY.