この研究は、スウェーデン、デンマーク、アメリカの研究機関の研究論文です。
掲載誌:International Journal of Eating Disorders
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を目的とした研究か
回避・制限性食物摂取症(ARFID)は、食べ物を避けたり摂取量を制限したりする状態が続き、生活に支障が生じる摂食障害です。体型や体重へのこだわりが主な原因ではない点が特徴とされます。
研究チームは、このARFIDを見つけ出すためのスクリーニング(ふるい分け)尺度の妥当性を調べた研究がまだ乏しいと指摘しています。そこで、子どもを対象に、保護者がオンラインで回答する形式のスクリーニング手法が、どの程度正確にARFIDを判別できるかを評価することを目的としました。
どのように調べたか
対象となったのは、スウェーデンで進められているARFID Initiative Sweden(ARIES)というコホート研究の参加者から選ばれた、6〜14歳の子ども65人です。
保護者は3種類のスクリーニング質問票に回答しました。具体的には、PARDI-AR-Q(ピカ・ARFID・反芻症インタビューをもとにしたARFID用質問票)、NIAS(9項目のARFIDスクリーニング)、PEDE-Q(保護者回答版の摂食障害検査質問票)です。その後、診断のための面接(PARDI)が実施されました。
研究チームは、質問票による判定と面接による診断を突き合わせ、感度(ARFIDのある子どもを正しく拾い上げる割合)、特異度(ARFIDでない子どもを正しく除外する割合)、陽性的中率(PPV:スクリーニングで陽性となった子どものうち実際に診断がついた割合)、陰性的中率(NPV:陰性となった子どものうち実際に診断がつかなかった割合)を算出しました。あわせて、質問票の得点と面接で測られた対応する側面との相関を調べ、測りたいものを測れているか(収束的妥当性)を確認しています。
報告された主な結果
複数の質問票を組み合わせたスクリーニングの手順について、著者らは感度とNPVが完全であったと報告しています。つまり、この標本ではARFIDの事例をすべて拾い上げ、該当しない子どもを正しく除外できたということです。特異度は0.83と高く、PPVは0.91〜0.95の範囲でした。ただし、ARFIDの診断基準A4(心理社会的な支障)をより厳しく定義し直した場合には、PPVは0.78まで下がったとされています。
診断基準を一つずつ見ると、成績にはばらつきがありました。医学的な指標に根ざした基準A1〜A3ではPPVが低かった一方、心理社会的な支障を問う基準A4ではPPVが0.95と高く、しかもこの基準が最も多く満たされていたと報告されています。
質問票と面接の対応する側面の相関は、おおむね中程度から強い水準で、収束的妥当性を支持する結果でした。また、ARFIDの診断基準を満たす水準に達した子どもは、閾値に届かない子どもに比べ、スクリーニング時点の症状の重さが有意に大きかったとされています。
この結果が示すもの
著者らは、これらの結果が、複数の尺度を組み合わせた保護者回答によるスクリーニングを、大規模な小児研究で用いることを支持するものだと述べています。
同時に、心理社会的な支障という基準が中心的な位置を占めることが浮かび上がりました。この基準は判別に強く寄与する一方、その定義の厳しさによって陽性的中率が動きます。著者らは、この基準をどう具体化するかを標準化する必要があると指摘しています。
著者:Diana Friskson(Department of Medical Epidemiology and Biostatistics Karolinska Institutet Stockholm Sweden)、Felicia Dahlback(Department of Medical Epidemiology and Biostatistics Karolinska Institutet Stockholm Sweden)、Laila Li Myrberg(Department of Medical Epidemiology and Biostatistics Karolinska Institutet Stockholm Sweden)、Liv Hog(Department of Medical Epidemiology and Biostatistics Karolinska Institutet Stockholm Sweden)、Nadia Micali(Center for Eating and Feeding Disorders Research, Mental Health Center Ballerup Copenhagen University Hospital—Mental Health Services CPH Copenhagen Denmark)、Cynthia Marie Bulik(Department of Nutrition University of North Carolina at Chapel Hill Chapel Hill North Carolina USA)、Lisa Dinkler(Department of Medical Epidemiology and Biostatistics Karolinska Institutet Stockholm Sweden)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Diana Friskson, Felicia Dahlback, Laila Li Myrberg, et al. Validation of Parent‐Report Questionnaires for Large‐Scale Online Screening of Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder in Children and Adolescents. International Journal of Eating Disorders 2026-09-27. DOI: 10.1002/eat.70213. 原著ライセンス:CC BY.