近年、環境や健康への関心の高まりから、肉を使わない「代替肉」への注目が集まっています。豆類を使った肉代替品(ミートアナログ)は、環境負荷が少なく健康的な選択肢とされていますが、本物のソーセージのような食感や風味を再現するのは簡単ではありません。今回紹介する研究では、白インゲン豆(Phaseolus vulgaris L.)のペーストとコーンスターチを組み合わせて、植物性ソーセージの開発が試みられました。
研究チームは、白インゲン豆ペーストとコーンスターチの配合比率を変えた4種類の試作品を用意しました。何も置き換えない対照群(T0)に加え、豆ペーストとコーンスターチの比率が30:70(T1)、40:60(T2)、50:50(T3)となる3つの配合が比較されました。これらについて、pHや水分・たんぱく質などの成分分析(物理化学的・一般成分分析)、加熱による重量減少(蒸解損失)、そして色・食感・香りなどを人が評価する官能評価が行われました。
研究でわかったこと
白インゲン豆ペーストの配合量を増やしていくと、調べられた成分の多くで一貫した増加傾向が見られたと報告されています。pHは対照群(T0)の4.78が最も低く、最も豆ペーストの割合が高いT3では4.93まで上昇しました。
一般成分の分析では、T3の配合が対照群と比べて、粗タンパク質(7.12%)、保水率(42.17%)、灰分(2.89%)、食物繊維(0.19%)のいずれも最も高い値を示したとされています。一方で、豆由来の成分による吸水性が高まったことに関連して、加熱時の重量減少(蒸解損失)もT3で最大の7.91%となりました。
9段階の嗜好尺度を用いた官能評価では、総合的な評価が最も高かったのもT3の配合でした。特に色(8.72点)、食感(8.84点)、香り(8.78点)のスコアが高く、これが全体評価を押し上げた要因とされています。
これらの結果から、研究チームは白インゲン豆とコーンスターチを50:50で配合したT3が、構造面と栄養面のバランスに最も優れており、低脂肪・高タンパクな肉代替品を生み出す配合であると結論づけています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、特定の実験室で行われた一つの試作・評価であり、豆類とコーンスターチを使ったソーセージ開発の可能性を示すものです。ここで得られた数値や官能評価の結果は、今回の実験条件・配合比率のもとで得られたものであり、健康効果や商品としての普及可能性を保証するものではない点に留意が必要です。研究チームは、この組み合わせが商業的な植物性ソーセージの製造に有望な方向性であると述べていますが、これは一つの研究成果であり、今後さらなる検証が積み重ねられていく性質のものと考えられます。
まとめ
白インゲン豆ペーストとコーンスターチを50:50で配合したソーセージは、タンパク質や食物繊維などの成分、そして色・食感・香りといった官能面でも良好な評価を得たと報告されています。豆類由来の代替肉開発における一つの知見として、今後の展開が注目されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:白インゲン豆(Phaseolus vulgaris L.)とコーンスターチを含むソーセージの品質開発と評価(ラッズ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・リサーチ・アンド・アプライド・サイエンス)