著者の所属・活動拠点の国は、パキスタンです。

掲載誌:Acta agriculturae Slovenica

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究のねらい

トマトの手作業による収穫は、費用も時間もかかります。著者らはこの課題に取り組むため、トマトを自動で収穫するロボットを提案しました。研究の中心の一つは、ロボットの移動に使う四輪操舵システムの動きを、ロボット全体の動作と統合することです。

研究は大きく二つの要素で構成されています。一つはトマトがどこにあるかを捉える「位置の検出」、もう一つは目の前のトマトが熟しているかどうかを見分ける「トマトの識別」です。

トマトの見分け方と位置のとらえ方

研究チームは、熟したトマトと未熟なトマトを写した写真を1268枚集めました。さらに、画像の回転、反転、サイズ変更といった前処理を加え、データセットの量と質を高めたと報告しています。

熟したトマトと未熟なトマトの検出と分類には、YOLOv5s、YOLOv8s、YOLOv9s、YOLOv10sの4種類のモデルを使いました。YOLOは、画像の中から対象物を見つけ、その種類を判定する物体検出の手法です。著者らは、正解率、適合率、再現率という指標でモデルの性能を比べました。適合率は「熟していると判定したもののうち実際に正しかった割合」、再現率は「実際に該当するもののうち見つけられた割合」を表します。

位置の検出では、焦点距離を用いるステレオカメラを使いました。ステレオカメラは二つの視点から撮影することで奥行きを推定できるカメラです。このカメラでトマトまでの奥行きを推定しながら、映像をリアルタイムで配信します。そのうえで、逆運動学を使って目標地点に届くためのロボットアームの3次元位置と角度を計算し、サーボモーターで動かします。逆運動学とは、アームの先端を届かせたい位置から、関節をどの角度にすればよいかを逆算する計算方法です。

主な結果

論文によると、このシステムは熟したトマトを8秒未満で収穫し、収納タンクに格納しました。収穫効率は94%と報告されています。

比較した4種類のモデルのうち、評価指標が最もよかったのはYOLOv8sでした。

この研究が示すこと

この研究は、熟したトマトを画像から見分ける検出モデルと、カメラによる奥行きの推定、アームの動作計算を一つのロボットに組み合わせ、収穫から格納までを自動で行う仕組みを示しました。手間のかかるトマト収穫を機械に任せる一つの方法を具体的に提示した報告といえます。

原著論文の著者・所属:Muhammad Sikander SHAHBAZ(Advance Image Processing Research Lab (AIPRL), Institute of Computer and Software Engineering, Khwaja Fareed University of Engineering and Information Technology, Rahim Yar Khan, 64200, Pakistan)、Muhammad AQEEL、Muhammad IQBAL、Hussin Mahmood SARGANA、Ahmed SOHAIB(Advance Image Processing Research Lab (AIPRL), Institute of Computer and Software Engineering, Khwaja Fareed University of Engineering and Information Technology, Rahim Yar Khan, 64200, Pakistan)、Areesha GULL(School of Mechanical and Manufacturing Engineering (SMME), National University of Sciences and Technology (NUST) Islamabad 44000, Pakistan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Muhammad Sikander SHAHBAZ, Muhammad AQEEL, Muhammad IQBAL, et al. Autonomous tomato harvesting robot using YOLO model. Acta agriculturae Slovenica 2026-09-29. DOI: 10.14720/aas.2026.122.3.21385. 原著ライセンス:CC BY.