著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

睡眠不足が食べ方に影響することは多く調べられてきました。一方で、何を食べるかが睡眠にどう関わるかは、まだよく分かっていません。成人では、葉酸などの微量栄養素(ビタミンやミネラル)の摂取と睡眠の関係を示す研究が増えています。しかし著者らによれば、10代の若者を対象に、幅広い微量栄養素と睡眠の関係を調べた研究はこれまでありませんでした。

研究チームは、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ビタミンD・K、鉄の摂取が多いほど睡眠が良好になるという仮説を立てました。そのうえで、ナトリウム、亜鉛、ビタミンB群、ビタミンC、カロテノイド類なども含めた幅広い栄養素について、睡眠との関連を探索的に調べました。

何を調べたか

対象は14〜18歳の中高生で、2022〜2023年に行われた2つの研究のデータを改めて分析しました(二次解析)。85人が参加し、平均年齢は15.5歳でした。食事記録を1回以上提出した80人が最終的な分析に含まれています。

参加者は、前日に食べたものを振り返って入力するオンラインの食事調査に、多くの場合2〜3回回答しました。睡眠は、手首に着ける活動量計と睡眠日誌で記録しました。そこから、寝付いた時刻、睡眠の中間時刻、睡眠時間、睡眠効率(寝床にいた時間のうち実際に眠っていた割合)、寝付いた後に目覚めていた時間を求めています。さらに、朝型・夜型の傾向や日中の眠気を質問票で尋ねました。体内時計の目安として、薄暗い環境で睡眠に関わるホルモン「メラトニン」が出始める時刻も調べています。

分析は2通りです。1つは、ある日の摂取量とその夜の睡眠の関係です。もう1つは、観察期間を通じた平均摂取量と、平均的な睡眠や朝型・夜型などの比較的安定した特徴との関係です。推奨摂取量が男女で異なるため、分析は男女別に行い、多数の比較による偶然の結果を減らす統計的な補正もかけています。

主な結果

当初の仮説とは異なり、すべての分析で一貫して良好な睡眠と結びつく微量栄養素は見つかりませんでした。良好な睡眠と比較的一貫して関連したのは、カリウムとレチノール(ビタミンAの一種)です。ある日のカリウム摂取が多いと、その夜の睡眠効率が男女とも高くなっていました。女性では、その夜の寝付きが早いこととも関連していました。レチノールも複数の分析で良好な睡眠と関連しましたが、男女間や睡眠の側面によって結果は一致しませんでした。いずれも、日ごとの分析でのみ見られた関連です。

反対に、ビタミンB12とビタミンCは、それぞれ3つの分析で睡眠の悪さと関連していました。この集団の平均摂取量は推奨量を上回っており、ビタミンB12では男性で約3倍、女性で約5倍でした。亜鉛は、男女とも平均摂取量が多いほど日中の眠気が強い傾向を示しましたが、統計的には「傾向」の段階にとどまります。

成人の研究からは、鉄、マグネシウム、カルシウム、葉酸に睡眠を守る方向の関連が期待されていました。しかし、そうした関連は確認されませんでした。著者らは、女性では鉄・マグネシウム・カルシウムの平均摂取量が推奨量を下回っていたことなどから、十分な摂取の影響を捉えられなかった可能性を挙げています。

この研究が示すこと

著者らは、微量栄養素の摂取が10代の睡眠のさまざまな側面と関連していると述べています。その日の食事とその夜の睡眠という短期的な関係と、数日間の食べ方と全体的な睡眠傾向の関係は、異なる可能性があるとも指摘しています。また、成人の研究と食い違う結果もあり、年代ごとに調べる重要性が示されました。

ただし、この研究は一時点の観察に基づく探索的な分析で、因果関係は示せません。食事内容は本人の申告によるもので、参加者の多くは非ヒスパニック系の白人でした。著者らは、すべての結果を今後の確認が必要な「関連の手がかり」として扱うべきだとしています。また、食事だけで誰にでも効く睡眠改善策は見つからなかったと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Sarah L. H. Kamhout(Department of Psychology, Brigham Young University, Provo)、Sarah G. Bellini(Department of Nutrition, Dietetics, and Food Science, Brigham Young University, Provo)、Steven G. Luke(Department of Psychology, Brigham Young University, Provo)、Kate J. Homer(Department of Psychology, Brigham Young University, Provo)、Mary Broadbent(Department of Psychology, Brigham Young University, Provo)、Kara M. Duraccio(Department of Psychology, Brigham Young University, Provo)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sarah L. H. Kamhout, Sarah G. Bellini, Steven G. Luke, et al. In search of vitamin sleep: cross-sectional analysis of vitamin and mineral intake and sleep health outcomes in adolescents. Frontiers in Nutrition 2026-10-16. DOI: 10.3389/fnut.2026.1978612. 原著ライセンス:CC BY.