著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Advances in Clinical and Experimental Medicine

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

子どもの睡眠障害はよく見られる問題で、親のいびきや好ましくない食習慣といった家庭や食事に関わる要因との関連が指摘されてきました。一方で著者らは、文化的背景を踏まえた研究はまだ少なく、大きな集団で見られる弱い関連が見落とされがちだと述べています。

そこで研究チームは、中国の子どもを対象に、睡眠障害と関連する家庭・食事面の危険因子を明らかにし、予防に役立つ手がかりを得ることを目指しました。

何を調べたか

研究は中国・済南市で2022年1月から2023年12月にかけて行われた横断研究です。横断研究とは、ある時点の状態をまとめて調べ、要因と状態の関連を見る方法で、どちらが原因かを直接示すものではありません。対象は、便宜的な方法で集めた1〜7歳の子ども845人です。

睡眠障害の有無は、妥当性が確認された質問票を用い、口呼吸、習慣的ないびき、無呼吸、あえぎといった症状を保護者が報告した内容に基づいて判定しました。あわせて、年齢などの基本情報、家庭の状況、食事に関する情報を集めました。

分析では、複数の要因を同時に考慮して関連を評価する統計手法(多変量ロジスティック回帰)を用い、年齢の影響を調整しました。さらに1〜3歳、4〜5歳、6〜7歳の年齢層別の分析も行っています。

主な結果

845人(平均年齢5.2歳)のうち、192人(22.7%)が睡眠障害に該当しました。

結果はオッズ比で示されています。オッズ比は、ある特徴をもつ集団で睡眠障害が見られる見込みが、比較対象の何倍かを表す指標です。論文によると、父親のいびき(オッズ比2.20)と母親のいびき(1.76)が睡眠障害と有意に関連していました。母親の学歴が短期大学相当(2.58)や学士(2.44)であることも関連する要因として挙げられています。

食事面では、子どもが揚げ物を好むこと(6.49)、肉を好むこと(2.19)、甘いものを好むこと(2.15)が有意な危険因子とされました。また、甘いものを毎日食べる場合と比べて、週1〜2回(0.53)や週3〜5回(0.51)といった適度な頻度で食べる場合は睡眠障害の見込みが低く、著者らはこれを保護的な関連として報告しています。

研究が示すこと

著者らは、子どもの睡眠障害が親のいびき、母親の比較的高い学歴、揚げ物・肉・甘いものへの好みと有意に関連し、甘いものの適度な摂取は保護的に働くように見えたと結論づけています。

この研究は、家庭環境や子どもの食の好みが睡眠の問題と結びついている可能性を示しました。ただし横断研究で得られた関連であり、これらの要因が睡眠障害を引き起こすことを示したものではない点に留意が必要です。

原著論文の著者・所属:Lifeng Zhang(Department of Otolaryngology, Shandong University of Traditional Chinese Medicine Affiliated Hospital, Jinan, China; The First College for Clinical Medicine, Shandong University of Traditional Chinese Medicine, Jinan, China)、Xiangjing Chen(Department of Otolaryngology, Shandong University of Traditional Chinese Medicine Affiliated Hospital, Jinan, China)、Xin Zhang(Department of Otolaryngology, Shandong University of Traditional Chinese Medicine Affiliated Hospital, Jinan, China)、Ya Yan(The First College for Clinical Medicine, Shandong University of Traditional Chinese Medicine, Jinan, China)、Renzhong Wang(Department of Otolaryngology, Shandong University of Traditional Chinese Medicine Affiliated Hospital, Jinan, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lifeng Zhang, Xiangjing Chen, Xin Zhang, et al. Family and dietary risk factors associated with childhood sleep disorders: Evidence from a cross-sectional study in China. Advances in Clinical and Experimental Medicine 2026-07-30. DOI: 10.17219/acem/212573. 原著ライセンス:CC BY.