カボチャを調理するとき、多くの人は中の果肉だけを使い、皮は捨ててしまうのではないでしょうか。しかし食品を作る過程で生まれるこうした「副産物」を有効活用することは、食品ロスを減らし、資源を循環させる取り組みとして近年注目されています。今回紹介する研究は、通常は廃棄されるカボチャの皮を粉末にして小麦パスタに加え、その栄養面や品質面での可能性を詳しく調べたものです。
カボチャの皮を粉にしてパスタへ
研究チームはまず、カボチャの皮を乾燥させて粉砕し、粉末にしました。この粉末について、化学組成や生理活性成分(体に何らかの作用をもたらす可能性がある成分)の含有量、そして加工に関わる機能的な特性を分析しています。
その結果、カボチャ果皮粉末には食物繊維、ポリフェノール、カロテノイドが豊富に含まれていることが確認され、これに伴って高い抗酸化活性を示すことが報告されています。
次に、この粉末を5〜15%の割合で小麦パスタに配合した試作パスタを複数作り、化学組成、茹で上げたときの品質、生地の物理的な性質(レオロジー特性)、抗酸化性、でんぷんの消化されやすさ、食感、酸化への安定性、さらに腸内環境への影響が期待される「プレバイオティクス」としての可能性まで、幅広い観点から評価が行われました。
その結果、カボチャ果皮粉末を加えたパスタは、無添加のものと比べて生理活性成分や食物繊維の含有量が有意に増加した一方で、加工特性への影響は比較的穏やかだったとされています。特に10〜15%程度の添加量で、機能性成分の増加と技術的な品質のバランスが最も良好であったと報告されています。ただし、それ以上高い添加量になると、食感や茹で上げの特性に影響が出る可能性があるとも述べられています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、カボチャの皮という食品副産物が、食物繊維やポリフェノール、カロテノイドを補う機能性食品の原料として活用できる可能性を示したものです。ただし、これは一つの研究であり、パスタの試作・分析という枠組みの中で得られた知見であることに留意する必要があります。カボチャ果皮粉末入りパスタを食べることで健康上の効果が得られると断定するものではなく、あくまで食品開発・食品科学の観点からの技術的・栄養的な評価であるとされています。
まとめ
本研究は、通常は廃棄されるカボチャの皮を乾燥・粉末化し、パスタに5〜15%配合することで、食物繊維やポリフェノール、カロテノイドといった機能性成分を補いながら、一定の加工品質を保てる可能性を示しました。食品ロス削減や資源循環という観点からも興味深い試みであり、今後こうした副産物由来の素材が食品開発にどう活かされていくのか、注目される分野だといえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:廃棄物から価値へ:カボチャ果皮粉末を強化した機能性パスタの持続可能な開発とその栄養評価(モレキュールズ・2026年07月)