カレーライスやどんぶりなど、ご飯を中心とした食事をとると、食後に血糖値が急上昇することがあります。この食後血糖の急上昇(食後高血糖)は、2型糖尿病や肥満、心血管疾患などのリスク要因の一つとして知られています。そのため、食事の内容や食べ合わせによって食後血糖の上がり方を穏やかにできないか、さまざまな食品を対象に研究が行われています。

今回紹介するのは、日本の食文化に古くから根づいている海藻「ワカメ」に着目した研究です。ワカメにはカルシウムアルギン酸という成分が豊富に含まれており、この研究では、そうしたワカメの粉末をご飯とカレーに加えて食べたときに、食後の血糖値やインスリン値がどう変化するかを調べています。

研究でわかったこと

この研究は、健常な日本人22名を対象に行われたランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験です。参加者は20〜59歳で、事前検査での空腹時血糖値が125 mg/dL未満の人が対象となりました。参加者は、ご飯150gとカレー100gのみを食べる回と、同じ食事にカルシウムアルギン酸を豊富に含むワカメ粉末2gを加えて食べる回の両方を経験し、食後0分、30分、60分、90分、120分の時点で採血して血糖値とインスリン値が測定されました。

その結果、ワカメ粉末を加えて食べた場合、食後30分の時点での血糖値はワカメなしの場合と比べて7 mg/dL、インスリン値は7.5 μU/mL、それぞれ低い値となったと報告されています(統計的に有意な差、p<0.05)。また、食後0〜60分におけるインスリンの増加量(曲線下面積)についても、ワカメ粉末を加えた場合の方が低い値だったとされています。

さらに、人の消化管の働きを模した「人工消化試験」でも検討が行われており、ワカメ粉末を加えた条件では、消化開始20分後の糖濃度が対照条件と比べて低い値であったことが示されています(252±8.9 mg対279±6.7 mg、p<0.05)。これらの結果から、研究チームは、ご飯やカレーのような主食にワカメ粉末を加えて食べることが、食後の血糖上昇を穏やかにするうえで役立つ可能性があると述べています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、健康な人を対象とした一回の食事による急性的な効果を検討したものであり、長期的にワカメ粉末を摂取し続けた場合の効果や、糖尿病などの疾患を持つ人における効果を直接示したものではありません。また、参加者数は22名と限られており、一つの研究として得られた結果であることに留意する必要があります。今後、対象を広げたさらなる研究によって、今回の結果がどこまで一般化できるかが明らかになっていくと考えられます。

まとめ

この研究では、ご飯とカレーにカルシウムアルギン酸を豊富に含むワカメ粉末を加えて食べることで、食後30分の血糖値・インスリン値が、加えなかった場合と比べて低かったことが報告されました。あわせて行われた人工消化試験でも、糖の上昇が抑えられる傾向が確認されています。ワカメという身近な食材が食後の血糖応答にどう関わるのかを考えるうえで、興味深い知見を示す研究と言えそうです。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:カルシウムアルギン酸を豊富に含むワカメ(ワカメ)粉末が健常者の食後血糖値およびインスリン値に及ぼす影響:ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験(フード・ニュートリション・アンド・ヘルス・2026年08月)

※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。