果物を加工してジュースやピューレをつくると、皮や種、果肉の残りといった搾りかすが大量に発生します。こうした副産物は多くの場合廃棄されており、これをどう有効活用するかは、資源を無駄にしない食品システムづくりの課題の一つとされています。今回紹介する研究は、ポーランド・ワルシャワ生命科学大学(SGGW)の食品科学系の研究者らが、ブラックチョークベリー(学名:Aronia melanocarpa)の搾りかすを牛肉バーガーに混ぜ込み、品質や保存中の変化にどのような影響が出るかを調べたものです。

どのように調べたのか

研究では、牛肉バーガーの生地にブラックチョークベリーの搾りかすを0.0%、0.5%、1.0%、2.0%、3.0%という5段階の割合で加えて焼成し、真空パックにした状態で4℃で14日間保存しました。製造当日には加熱による重量減少や成分組成を測定し、保存期間中はpH、肉の硬さを示すせん断力、色(明度・赤み・黄み)、官能評価(人の舌や目で評価する食味・外観の評価)、そして微生物学的な品質を継続的に確認しています。

研究でわかったこと

搾りかすの配合量を0%から3.0%まで増やすと、加熱による重量の減少幅は5.6ポイント、直径の収縮幅は2.9ポイントそれぞれ大きくなったと報告されています。一方で、肉の硬さの指標であるせん断力は、3.0%配合のバーガーで対照群(無配合)より1日目で3.76ニュートン、14日目では5.11ニュートン低く、やわらかい食感になる傾向が示されました。また、搾りかすを加えたバーガーは対照群に比べて色が有意に濃く(暗く)、赤みや黄みの数値も低くなったとされています。

官能評価では、0.5〜1.0%を配合したバーガーは、多くの評価項目で対照群と同程度のスコアを得ており、この研究の条件下では1.0%が、望ましい食味・外観を保てる上限の配合量と位置づけられています。さらに、保存14日間を通じて、好気性中温細菌数はすべての配合群で5 log CFU/g(菌数の単位)を下回っており、搾りかすの添加が微生物学的な品質に悪影響を及ぼした様子は見られなかったとのことです。

この研究を読むうえで気をつけたいこと

この研究は、あくまで一つの試験結果であり、結論が確定したわけではありません。評価されたのは加熱特性や色、硬さ、官能評価、微生物数といった品質・保存安定性に関する項目であり、栄養面の効果や健康への影響を検証したものではない点には注意が必要です。また、配合できる量にも限界があり、今回の結果では2.0%や3.0%では色や食感の変化が大きくなり、官能評価上は1.0%程度までがバランスの良い配合とされています。

まとめ

今回の研究は、果物加工の副産物であるブラックチョークベリーの搾りかすを牛肉バーガーに少量(特に1.0%程度)加えることで、品質を大きく損なうことなく利用できる可能性を示したものです。食品廃棄物の削減や資源の有効活用を目指す取り組みの一例として、今後さらに研究が積み重ねられていくことが期待されます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Aneta Cegiełka, Marta Chmiel, Elżbieta Hać‐Szymańczuk, et al. Sustainable Utilization of Black Chokeberry Pomace in Beef Burgers: Implications for Quality and Storage Stability. サステナビリティ (2026). DOI: 10.3390/su18157851. 原著ライセンス: cc-by.