著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:JAND Global Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ブラジルでは、手に入りやすい食品や食習慣が地域によって異なります。しかし、大学生の食品摂取の特徴に地域差があるかどうかは、これまで十分に明らかにされていませんでした。そこで研究チームは、ブラジルの大学生を対象に、食品摂取の目安となる指標(食品摂取マーカー)が地域によってどう異なるかを分析しました。紹介にあたって参照したのは論文の抄録で、本記事はそこに記載された目的、方法、結果に基づいています。

調査の方法

この研究は、ある一時点の状況を調べる横断研究です。対象は、ブラジルの5つの大地域(北部、北東部、中西部、南東部、南部)にある93大学に在籍する18〜59歳の男女の学生です。大学は無作為抽出ではなく、協力を得やすい大学を選ぶ便宜的な方法で選ばれました。各大学が学内の連絡手段を通じて、学生にオンライン調査を案内しました。

質問票では、年齢や性別などの基本情報、身長や体重、経済階層、食品摂取の状況を尋ねました。食品摂取の質問には、ブラジルの食料・栄養監視システムで使われている質問票が用いられています。分析では、南部を比較の基準としました。年齢、性別、経済階層、BMI(体重と身長から求める体格の指標)の影響を調整したうえで、各地域で特定の食品を摂取している人の割合が南部の何倍かを示す「有病率比」を推定しています。同じ大学の学生どうしは回答が似る可能性があるため、その点も考慮して分析されました。

主な結果

分析対象は5,946人でした。女性が73.5%を占め、平均年齢は24歳です。55.7%が標準体重に分類されました。

南部と比べると、果物を摂取している人の割合は中西部と北部で低く、有病率比はそれぞれ0.83と0.84でした。これは、割合が南部のおよそ8割強であることを意味します。野菜を摂取している人の割合は、北部(0.86)、北東部(0.88)、南東部(0.92)で南部より低くなりました。一方、豆の摂取は、すべての地域で南部より多いという結果でした。

このほか、中西部ではハンバーガーや加工肉を摂取している人の割合が低くなりました(0.84)。北部では、砂糖入り飲料を摂取している人の割合が高くなりました(1.17)。

この研究が示すこと

著者らは、ブラジルの大学生のこの調査対象者において、食品摂取マーカーに地域差がみられたと結論づけています。果物や野菜、豆、加工肉、砂糖入り飲料といった身近な食品の摂取状況は、同じ国の大学生でも住む地域によって異なっていました。ただし、この研究は一時点の調査で、大学も便宜的に選ばれています。そのため、こうした差が何によって生じるのかは、この研究だけでは分かりません。著者らも、差に関わる要因を探るにはさらなる研究が必要だとしています。

原著論文の著者・所属:Felipe Wallisson da Silva Santos(Programa de Pós-Graduação em Nutrição (PPGNUT), Universidade Federal de Alagoas, Faculdade de Nutrição, Curso de Nutrição. Maceió, AL, Brazil)、André Eduardo da Silva Júnior(Programa de Pós-Graduação em Nutrição, Escola Paulista de Medicina, Universidade Federal de São Paulo. São Paulo, SP, Brasil)、Débora Cavalcante Ferro(Programa de Pós-Graduação em Nutrição (PPGNUT), Universidade Federal de Alagoas, Faculdade de Nutrição, Curso de Nutrição. Maceió, AL, Brazil)、Natália Gomes da Silva Lopes(Programa de Pós-Graduação em Nutrição (PPGNUT), Universidade Federal de Alagoas, Faculdade de Nutrição, Curso de Nutrição. Maceió, AL, Brazil)、Nassib Bezerra Bueno(Programa de Pós-Graduação em Nutrição (PPGNUT), Universidade Federal de Alagoas, Faculdade de Nutrição, Curso de Nutrição. Maceió, AL, Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Felipe Wallisson da Silva Santos, André Eduardo da Silva Júnior, Débora Cavalcante Ferro, et al. Regional Differences in Food Consumption Markers Among Brazilian University Students: Findings From a Nationwide Survey. JAND Global Reports 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.jaglob.2026.100036. 原著ライセンス:CC BY.