胸やけや酸味の込み上げといった症状で知られる胃食道逆流症(GERD)は、日常的な食事や生活習慣との関連がよく話題になる消化器の不調です。ただし、どの食品や食習慣が症状と結びつきやすいのかについては、これまでの研究間で結果が一致しないことも多く、地域や食文化によって傾向が異なる可能性が指摘されてきました。今回紹介するのは、南アジアのスリランカで行われた、地域の食文化に着目した大規模調査です。

スリランカ25地域、1200人を対象にした調査

この研究は、スリランカ国内25の行政地域から集めた成人1200人を対象に行われた、地域コミュニティを基盤とする全国規模の調査です。研究チームは、参加者の食事内容やきっかけとなりやすい食品、食べ方の習慣、栄養摂取量、そしてGERDの症状について評価しました。

その結果、脂っこい食品、小麦を使った製品、コーヒー、そして酸味や酢を含む食品が、GERDの症状と関連していることが示されたと報告されています。また、朝食を抜くことや夜間の食事、さらに食後すぐに横になる習慣も、症状の発生に関係していたとされています。

一方で、興味深いことに、摂取する総カロリー量や肥満に関連する指標については、逆流症状との明確な関連は見られなかったとのことです。食事の「質」や「食べ方」が、単純な摂取量以上に症状と結びついている可能性がうかがえる結果と言えそうです。

なお、パンや小麦、いわゆるFODMAP(発酵性の糖質)、酵母による発酵、胃から食べ物が排出される speed の遅れ、グルテンへの感受性などが症状に関わる可能性についても論文中で触れられていますが、これらはあくまで仮説的な説明であり、さらなる検証が必要だと述べられています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、南アジアという特定の地域集団におけるGERDと食生活の関連を示すデータを提供するものであり、文化的背景に即した食事・生活習慣への介入の重要性を後押しする内容だとされています。ただし、示された関連はあくまで「相関」であり、特定の食品や習慣が症状を「引き起こす」と断定するものではありません。また、仮説として挙げられているメカニズムについても、著者ら自身がさらなる検証が必要だと述べている段階です。一つの地域調査から得られた知見であり、これだけで結論が確定したわけではない点には留意が必要です。

まとめ

今回のスリランカでの調査では、脂っこい食品や小麦製品、コーヒー、酸味・酢を含む食品、そして朝食欠食や夜間の食事、食後すぐに横になる習慣が、GERDの症状と関連していることが示唆されました。一方で総カロリー摂取量や肥満指標との明確な関連は見られなかったとのことです。食の内容だけでなく、食べるタイミングや姿勢といった生活習慣にも目を向けることの大切さを示す一例として、興味深い研究だと言えるでしょう。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:スリランカにおける食事パターンと胃食道逆流症:地域の食文化的視点(ワールド・ジャーナル・オブ・ガストロインテスティナル・サージェリー・2026年07月)