ダイエットや体重管理というと、多くの人は「何を」「どれだけ」食べるかに注目します。しかし近年、「いつ食べるか」という食事のタイミングも体重や体組成に関係しているのではないかという研究分野が注目を集めています。この分野は「時間栄養学(クロノニュートリション)」と呼ばれ、朝食を摂る時刻や夕食を摂る時刻、夜間の間食の頻度などが、体重や体脂肪とどう関わっているのかが調べられています。

これまでの研究では、一般の人々において、食事の時間帯が遅いことが過体重や肥満のリスクの高さと関連することが示されてきました。しかし、血糖値が正常より高く糖尿病の一歩手前とされる「前糖尿病」の人においても同じような関連が見られるのかは、まだはっきりしていませんでした。今回紹介する研究は、この前糖尿病の成人を対象に、食事タイミングなどの時間栄養学的行動と、体重やウエスト周囲径といった身体計測値、さらに体脂肪率や筋肉量といった体組成との関連を調べたものです。

研究でわかったこと

この研究は、医療クリニックで標準的なケアを受けている前糖尿病の成人120名(平均年齢54±15歳)を対象に行われた前向きの縦断研究です。参加者からは面談形式のアンケートで社会人口統計学的な情報を収集し、身体計測値、体組成、そして食事タイミングなどの時間栄養学的行動(マレー語版クロノニュートリション・プロファイル質問票を使用)を、研究開始時点と6か月後の2回にわたって評価しました。統計解析では、交絡要因を調整した重回帰分析が行われています。

参加者全体の傾向として、最初の食事(朝食)の時刻は平均午前8時27分(±1時間38分)、最後の食事の時刻は平均午後7時35分(±1時間44分)で、最後の食事から就寝までの間隔は平均3.3時間(±1.9時間)でした。

解析の結果、いくつかの関連が報告されています。最後の食事の時刻が遅いことは、体重の高さ(β:0.68kg、95%信頼区間:0.31〜1.04)およびウエスト周囲径の大きさ(β:1.38cm、95%信頼区間:0.57〜2.19)と関連していました。また、午前7時から午後7時までの時間帯から食事時間が1時間ずれるごとに、体重が1.41kg増加する(95%信頼区間:0.05〜2.77)という関連も見られています。夜間の間食の頻度が増えることは、BMIの高さ(β:1.61kg/m²、95%信頼区間:0.43〜2.79)と関連していました。

体組成に関しても関連が示されました。最後の食事時刻が遅いこと(β:0.44%、95%信頼区間:0.14〜0.74)や、太陽時間(自然な昼夜のリズム)からのずれが大きいこと(β:1.36%、95%信頼区間:0.30〜2.42)は、体脂肪率の高さと関連していました。一方で、朝食を欠食する頻度が増えることは、筋肉量の低さ(β:-0.31kg、95%信頼区間:-0.56〜0.07)と関連していたとされています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、あくまで食事タイミングなどの行動と身体計測値・体組成との「関連」を統計的に示したものであり、遅い時間の食事や朝食欠食が体重増加や筋肉量低下を「引き起こす」と直接証明したものではない点に注意が必要です。また、対象は前糖尿病の成人120名という特定の集団であり、対象者の年齢層や背景も限られているため、結果がすべての人に当てはまるとは限りません。一つの研究であり、これだけで結論が確定したわけではない点を踏まえて読むとよいでしょう。

まとめ

この研究では、前糖尿病の成人において、遅い時間の夕食や夜間の間食の頻度の増加が体重・ウエスト周囲径・BMI・体脂肪率の高さと関連し、朝食欠食の頻度の増加が筋肉量の低さと関連していることが報告されました。「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」という視点も、体重や体組成を考えるうえで一つの手がかりになりうることを示唆する研究といえそうです。今後、こうした知見をもとにした食事タイミングに着目した介入研究の展開が期待されます。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:前糖尿病成人における時間栄養学的行動と身体計測値・体組成との関連(ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション・2026年07月)