この研究は、イタリア、イギリスの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Appetite
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
地中海食は、複数の異なる食行動を同時に調整することが求められる食事のパターンです。研究チームは、そのために「やろうと思っていても実際の行動に結びつかない」というずれ(意図と行動のギャップ)が生じやすいと述べています。
この研究が評価したのは、「目標の優先順位づけ」と「実行意図」を組み合わせた働きかけの効果です。実行意図とは、あらかじめ具体的な行動計画を決めておく手法を指します。著者らは、人が一部の目標を選んで優先しながら、優先しなかった健康行動の実践も保てるかどうかを検証しました。
何を調べたか
研究チームは縦断的な無作為化比較試験を実施しました。参加者は成人410人(平均年齢46.1歳)で、無作為に2つの条件のいずれかに割り当てられました。実験条件の参加者は、地中海食に関わる行動の中から優先する2つを自分で選び、その優先に沿った計画を立てました。もう一方は能動的対照条件でした。
主要な分析は無作為化された全参加者を対象に行われ、欠損値は多重代入法という統計的な手法で処理されたと報告されています。
報告された主な結果
介入によって、参加者が自己報告した目標の優先度はわずかに上昇しました。ただしその上昇は追跡時点では維持されていませんでした。また、対照条件と比べたとき、地中海食の各構成要素への実践度に統計的に意味のある効果は認められませんでした。
探索的に行われた個人内の分析では、参加者が優先すると選んだ行動の実践度に時間とともに小さな正の変化がみられ、優先しなかった行動は統計的に変化なしと同等にとどまりました。ただし、この2つの推移の差が有意といえたのは有意水準0.10においてのみでした。著者らは、優先する行動が参加者自身の選択によるものである以上、この傾向は観察にとどまるものであり、対照を置いた検証が必要な「メカニズムの候補」として扱うべきだと述べています。
この報告が示すこと
著者らは、優先順位づけを促すこと自体は実行可能であるものの、それだけでは地中海食のような複雑な食事パターンの実践度を動かすには十分ではない、と述べています。複数の行動が絡み合う食習慣を変えるという課題の難しさを、実際の試験を通じて示した報告といえます。
著者:Miriam Capasso(Department of International Humanities and Social Sciences, University of International Studies of Rome, Italy)、Raffaele Pasquariello(Department of Humanities, University of Naples Federico II, Italy)、Rosa Fabbricatore(Department of Economics and Statistics, University of Naples Federico II, Italy)、Riccardo Vecchio(Department of Agriculture, University of Naples Federico II, Italy)、Mark Conner(School of Psychology, University of Leeds, UK)、Daniela Caso(Department of Humanities, University of Naples Federico II, Italy. Electronic address: [email protected])
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Miriam Capasso, Raffaele Pasquariello, Rosa Fabbricatore, et al. Can combined goal prioritization and implementation intentions promote adherence to the Mediterranean Diet? A randomized controlled trial. Appetite 2026-08-27. DOI: 10.1016/j.appet.2026.108767. 原著ライセンス:CC BY.