この研究は、ナイジェリアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:IPS Journal of Nutrition and Food Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

食物繊維の健康面での役割が知られるようになり、繊維を多く含む食品への関心が高まっています。研究チームは、そうした背景を踏まえ、すぐ食べられる押出スナック(エクストルーダーという装置で加熱・加圧して成形した菓子)を、トウジンビエ、大豆かす、米ぬかという三つの原料から作ることを試みました。

トウジンビエは乾燥・半乾燥地帯で広く栽培される雑穀で、炭水化物や食物繊維、脂質、灰分、抗酸化成分を多く含むと報告されています。大豆かすは大豆油を搾った後に残る副産物で、たんぱく質が約50%と豊富です。米ぬかは精米の際に出る副産物で、多くは廃棄されたり飼料に回されたりしますが、食物繊維やミネラル、ポリフェノールなどの成分に富むことから機能性素材として注目されている、と著者らは紹介しています。

押出加工では、原料に加える水分量(フィード水分)とバレル(加熱筒)の温度が製品の品質を左右することが、他の原料の組み合わせについては報告されてきました。しかし著者らによれば、トウジンビエ・大豆かす・米ぬかの組み合わせについてはこうした知見が存在しません。そこで本研究は、水分量と温度が、できあがったスナックの食物繊維量、加工上の性質、官能(味や食感の評価)にどう影響するかを調べることを目的としました。

何をどう調べたか

まず三つの原料をそれぞれ粉にし、配合の設計手法を用いて、たんぱく質と粗繊維が望ましい量になる配合を探しました。その結果選ばれたのが、トウジンビエ50.00%、大豆かす32.36%、米ぬか17.64%という配合です。

この粉の配合に対して、加える水分量を20%と26%、加熱筒の最終ゾーンの温度を120℃と140℃と変え、二軸エクストルーダーで4種類のスナックを作りました。論文では順に、M20T120、M20T140、M26T120、M26T140と呼ばれています。比較の基準として、市販の押出スナック(CES)も同じ方法で分析しました。

評価したのは、水に溶ける食物繊維(可溶性)、溶けない食物繊維(不溶性)とその合計、膨らみ具合(膨化率)や密度、水の吸収・溶解のしやすさ、硬さといった加工上の性質、そして色です。加えて、大学の倫理委員会の承認を得たうえで、包装済みの押出製品を日常的に食べている50人の半訓練パネルに、見た目・風味・サクサク感・味・総合的な好ましさを9段階で採点してもらいました。

報告された主な結果

食物繊維については、分析した試料全体で可溶性が0.91〜2.28g/100g、不溶性が3.85〜6.15g/100g、総量が4.79〜8.43g/100gの範囲でした。作られたスナックは可溶性より不溶性の食物繊維を多く含んでおり、著者らはこれを、不溶性繊維が多いとされる米ぬかを配合したためではないかと述べています。

加熱筒の温度が高くなると食物繊維は減る傾向が見られ、著者らは高温下のせん断によって大きな多糖類が小さく分解されたことによる可能性を挙げています。一方で水分量を増やすと食物繊維は増え、総食物繊維は120℃では5.40から6.74g/100gへ、140℃では4.79から5.21g/100gへと上がりました。水分が多いほど繊維が機械的に壊れにくくなる保護効果によるものかもしれない、というのが著者らの解釈です。なお、比較対象の市販品はこれらより高い値(総量8.43g/100g)を示しています。

加工上の性質では、密度が最も低かったM20T120(0.76g/cm³)が最もよく膨らみ(膨化率1.76)、密度が最も高かったM20T140(0.91g/cm³)は膨化率が最小(1.56)でした。硬さは作られたスナックで97.92〜108.03Nと、市販品の83.56Nより有意に高く、著者らは米ぬかの配合量によって膨らみが抑えられたためと考えています。水の吸収しやすさを表す指標は温度が上がると高くなり、最も高い値は水分・温度がともに高い条件で得られました。

官能評価では、すべての項目で作られたスナックと市販品との間に有意差がありました。著者らは、パネルが市販品に慣れ親しんでいることが関係している可能性を指摘しつつ、作られたスナックも市販品と比べてまずまず受け入れられたとしています。作られた4種の中では、水分20%・温度140℃のM20T140が風味・味・総合的な好ましさで最も高い点数でした。著者らは、水分が低い条件では加わる力が強まってメイラード反応(加熱で起こる褐変反応で、香ばしい風味のもとになる)が進みやすいことが関係しうると説明しています。

この研究が示すこと

著者らは結論として、トウジンビエ・大豆かす・米ぬかが、官能的に受け入れられる繊維に富んだ押出スナックの材料になりうることを示したと述べています。選んだ水分量と温度の範囲では、温度のほうが製品の品質に大きく影響し、水分26%・温度120℃の条件が総食物繊維と硬さの点で最も望ましいスナックを与えました。一方で、風味や味、総合的な好ましさという観点では水分20%・温度140℃が最も良く、繊維量と食べやすさで望ましい条件が一致しない、という形で結果はまとめられています。

精米や製油の副産物である米ぬかと大豆かすを雑穀と組み合わせ、加工の条件を変えるだけで製品の性質が大きく動く——この研究は、身近な副産物を食べものとして生かす際に、どの設定を選ぶかが問われることを具体的な数値で示しています。

著者:Toyin Joy Arogundade(Department of Food Science and Technology, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Oluwole Steve Ijarotimi(Department of Food Science and Technology, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Olusola Samuel Jolayemi(Department of Food Science and Technology, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Omolola Hubeidah Gbolagade(Department of Food Science and Technology, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Tayo Nathaniel Fagbemi(Department of Food Science and Technology, Adekunle Ajasin University, Akungba-Akoko, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Toyin Joy Arogundade, Oluwole Steve Ijarotimi, Olusola Samuel Jolayemi, et al. Effect of Extrusion Parameters on Dietary Fibre, Techno-functional and Sensory Properties of Ready-to-Eat Extruded Snacks Produced from Pearl Millet, Soycake and Rice Bran. IPS Journal of Nutrition and Food Science 2026-08-22. DOI: 10.54117/fpghf342. 原著ライセンス:CC BY.