食物繊維は健康的な食生活の話題でよく登場する栄養素ですが、実際にどのくらい摂れていて、何から摂っているかによって体への関わり方に違いがあるのかは、意外と詳しく調べられていません。今回紹介するのは、成人820人を対象に、食物繊維の摂取量とその摂取源(野菜や果物などの未加工食品由来か、精製された炭水化物食品由来か)を調べ、これらが代謝に関わる指標とどのように関連しているかを検討した研究です。
研究でわかったこと
この研究は、家庭医療の外来を受診した成人820人(平均年齢33.63±13.58歳)を対象とした横断研究です。食事内容は食物摂取頻度調査票を用いて評価され、食物繊維の摂取量は総量だけでなく、未加工食品由来と精製炭水化物食品由来に分けて解析されました。あわせて、社会人口統計学的な情報や身体測定値、代謝に関する指標も収集されています。
その結果、参加者の食物繊維摂取量は平均13.42g/日であり、推奨されている量を大きく下回っていました。また、食物繊維の摂取量や摂取源には年齢層による違いが見られ、若い成人ほど精製炭水化物食品由来の食物繊維を多く摂取している一方、果物や野菜由来の食物繊維の摂取は年齢が上がるほど増える傾向が示されました。性別による違いも見られ、女性は未加工食品由来の食物繊維を多く摂取していたのに対し、男性は精製炭水化物食品由来の食物繊維を多く摂取している傾向が示されています。
代謝指標との関連については、未加工食品由来の食物繊維摂取量は、補正を行わない解析では空腹時インスリン値やインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRと弱い負の相関を示しましたが、多重検定の補正を行った後にはこの関連は統計学的に有意ではなくなりました。一方で、他の要因を調整した解析モデルでは、総食物繊維摂取量は引き続きHOMA-IRと独立して負の関連を示したことが報告されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、ある一時点でのデータを集めて関連を調べた横断研究であり、食物繊維の摂取とHOMA-IRとの関連が示されたとしても、それが因果関係を意味するものではない点に注意が必要です。実際、論文の著者らも、これらの結果を確認し、因果関係の可能性を明らかにするためには、時間の経過を追った前向きの研究が必要であると述べています。また、未加工食品由来の食物繊維と血糖関連の指標との関連は、多重検定補正後には有意ではなくなったことも報告されており、この点については慎重な解釈が求められます。一つの研究の結果であり、食物繊維の摂取が特定の健康状態を予防したり改善したりすることを証明するものではない点も踏まえて読むとよいでしょう。
まとめ
今回紹介した研究では、成人における食物繊維摂取量が推奨量を下回っている実態とともに、年齢や性別によって摂取源に違いがあることが示されました。また、総食物繊維摂取量が調整後の解析でインスリン抵抗性の指標と関連していたことも報告されています。食物繊維をどのような食品から摂っているかという視点も含め、今後の研究の発展が注目されるテーマといえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:成人における食物繊維摂取量、食品由来源、および代謝パラメータとの関連(ニュートリエンツ・2026年08月)