著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

泡の安定性と泡立てやすさの両立を調べる

研究チームは、アヒルの脂肪を使ったホイップクリームで、リン酸化イヌリンの添加量が泡の安定性や食感、泡立てやすさにどう関わるかを調べた。ホイップクリームには、泡立てた形を保ち、水分が分離しにくい性質が求められる。一方、粘りを強くしすぎると空気を取り込みにくくなるため、安定性とのバランスが課題になる。

イヌリンは、水分を抱え込んで食品の構造や食感を整える多糖類である。著者らは、その分子にリン酸基を導入した「リン酸化イヌリン」を使い、クリームの構造を支える材料としての働きを検討した。

添加量を変えて構造と泡立ちを比較

研究チームは、基準となる仕込み1回当たりのリン酸化イヌリン添加量を3、6、9、12グラムとした試料を作製した。比較のため、イヌリンを加えない試料と、未処理のイヌリンを12グラム加えた試料も用意した。各配合を独立に3回ずつ作製し、粘りや変形から戻ろうとする性質、泡立てに必要な時間、取り込まれた空気による体積の増加、水分の分離などを調べた。

論文によると、リン酸化イヌリンの添加量が多い配合ほど、粘りと弾性的な性質が強くなる傾向が見られた。泡も小さく均一に分布するようになり、絞り出した形の輪郭や表面が整っていた。同じ12グラムの添加量では、リン酸化したものは未処理のイヌリンより強い粘弾性を示し、平均粒子径も小さかった。

短時間の安定性は向上、泡立てには代償も

水分の分離については、22℃で3時間置いた後、6グラム添加の試料で測定可能な分離が認められなかった。これは、今回試したリン酸化イヌリンの添加量のうち、この結果が得られた最も少ない量だった。9グラムと12グラムの試料でも、測定可能な分離は認められなかった。

ただし、添加量の多い配合ほど泡立てに時間がかかり、空気を取り込むことによる体積の増加は小さくなった。また、添加量を増やすと配合全体の固形分量や他の材料の相対的な割合も変わるため、観察された違いをリン酸化イヌリンだけの作用とは言い切れない。

著者らの報告は、リン酸化イヌリンがアヒル脂肪のホイップクリームの構造を支え、短時間の水分分離を抑える可能性を示している。同時に、形を保つ力を高めることと、素早く空気を含ませることには、両立を考える必要があると伝えている。

原著論文の著者・所属:Muhammad Usman Amjad(College of Food and Bioengineering, Henan University of Science and Technology, Luoyang 471023, China)、Saman Azeem(College of Food and Bioengineering, Henan University of Science and Technology, Luoyang 471023, China)、Lijuan Wang(College of Basic Medical Science, Ningxia Medical University, Yinchuan 750004, China)、Baocheng Xu(College of Food and Bioengineering, Henan University of Science and Technology, Luoyang 471023, China; Henan International Joint Laboratory of Food Green Processing and Safety Control, Luoyang 471023, China)、Yue Tian(College of Food and Bioengineering, Henan University of Science and Technology, Luoyang 471023, China)、Xinjing Dou(College of Food and Bioengineering, Henan University of Science and Technology, Luoyang 471023, China; Henan International Joint Laboratory of Food Green Processing and Safety Control, Luoyang 471023, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Muhammad Usman Amjad, Saman Azeem, Lijuan Wang, et al. Effects of Phosphorylated-Inulin Addition on the Technological Properties of Duck-Fat-Based Whipped Cream. Foods 2026-08-26. DOI: 10.3390/foods15172993. 原著ライセンス:CC BY.