掲載誌:Journal of Agricultural Research, Pakistan
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
余ったカリフラワーを長持ちするスナックに
パキスタンではカリフラワーが広く栽培されていますが、収穫が集中する時期には市場に出回る量が多すぎて価格が下がり、売れ残りや傷みによる損失が農家の負担になっています。研究チームは、こうした収穫後の損失を減らす方法として、カリフラワーを日持ちのする加工品に変えることに注目しました。
市販のスナック菓子には合成保存料を使ったものが多い一方、人工的な添加物を避けたいという消費者の関心も高まっています。そこで著者らは、香り付けに使われるシナモンに注目しました。シナモンには抗菌作用や抗酸化作用(酸化による劣化を抑える働き)をもつ成分が含まれると報告されています。この研究の目的は、シナモン抽出液の濃度を変えて乾燥カリフラワースナックを作り、最長90日間の保存中に品質がどう変わるかを調べることでした。
スナックの作り方と調べた項目
研究チームは、市場で購入したカリフラワーを小房に分け、短時間ゆでる下処理(ブランチング)をした後、砂糖濃度の高いシロップに24時間浸しました。シロップにはシナモン抽出液を加えず、比較の基準とする対照のほか、抽出液を5%、10%、15%加えた3種類を用意し、合わせて4通りの試作品を作りました。シロップに浸すと、カリフラワーの水分が抜けると同時に糖分や抽出液の成分が内部に入り込みます。その後、55〜60℃の乾燥機で水分を8〜10%程度まで下げてスナックに仕上げました。
できたスナックは密閉容器に入れ、25〜30℃、湿度55〜70%の室温環境で保存しました。保存開始時、30日後、60日後、90日後に、硬さ、水分量、pH(酸性の度合い)、酸度、ビタミンC量、色合いを測定し、試作品どうしを比べています。色合いは、明るさ、赤み、黄色みを数値で表す方法で評価しました。
シナモン抽出液15%で品質の変化が比較的穏やか
保存期間が長くなると、どの試作品でも硬さが増し、水分量も少しずつ増えました。著者らは、乾燥食品が周囲の湿気を吸いやすい性質をもつことを水分増加の理由に挙げています。90日後の硬さは対照が最も大きく、抽出液15%の試作品が最も小さくなりました。つまり15%の試作品は、保存中に硬くなる速さが最も緩やかだったと報告されています。水分量は90日後に対照がやや高かったものの、試作品間の差はごくわずかでした。
酸度は保存中にすべての試作品で上昇しましたが、90日後に最も高かったのは対照で、シナモン抽出液を加えた試作品はいずれも対照より低い値にとどまりました。pHは全体に少しずつ下がりました。抽出液の濃度が高い試作品ほど保存開始時からpHが低く、著者らはこの理由として、シナモンに含まれる酸性の成分を挙げています。
ビタミンCは保存中にどの試作品でも減りましたが、抽出液15%の試作品は保存開始時から最も多く、90日後も対照より多く残っていました。色については、時間とともに全体が暗くなる中で、15%の試作品は対照より明るさを保ちました。一方、黄色みは保存中に増え、特に15%の試作品で大きく増加しました。著者らは、シナモン本来の色素や、シロップ由来の成分が反応して色づく現象が関係していると考えています。
研究チームは、こうした差について、シナモン抽出液に含まれる抗酸化成分などが劣化を緩やかにした可能性があると解釈しています。ただし、これは測定結果をもとにした著者らの説明であり、その仕組みを直接確かめた結果として示されているわけではありません。
研究が示すこと
著者らは、シナモン抽出液、特に濃度の高い15%の配合が、乾燥カリフラワースナックの品質を保つうえで有効だったと結論づけています。シナモン抽出液は風味付けの役割に加えて、天然由来の保存の助けにもなりうると論文は述べています。この研究は、収穫が多すぎて余りがちな野菜を、身近な香辛料を使って日持ちのする加工品に変える一つの試みを示したものです。
著者:Hammad Naeem(Scientific Officer, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Muhammad Hamdan Rashid(Scientific Officer, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Hafiz Usama Noor(Scientific Officer, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Sidra Rashid(Scientific Officer, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Rabiya Zulfiqar(Scientific Officer, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Irrum Babu(Senior Scientist, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Zafar Iqbal*(Senior Scientist, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Bareera Shafiq(Scientific Officer, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Muhammad Abrar(Chief Scientist, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute,Faisalabad)、Zarina Yasmin(Principal Scientific Officer, Post Harvest Research Centre, Ayub Agricultural Research Institute, Faisalabad)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hammad Naeem, Muhammad Hamdan Rashid, Hafiz Usama Noor, et al. DEVELOPMENT AND CHARACTERIZATION OF CINNAMON INFUSED CAULIFLOWER SNACK. Journal of Agricultural Research, Pakistan 2026-09-30. DOI: 10.58475/n94v4f34. 原著ライセンス:CC BY.