著者の所属・活動拠点の国は、カザフスタン、ポーランドです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:食品加工の副産物をソーセージに生かす

世界では食料生産のおよそ3分の1が失われたり廃棄されたりしており、栄養を含む副産物も十分に活用されていません。論文によると、リンゴは世界で最も多く生産される果物で、その加工では毎年推計600万〜1200万トンの搾りかす(ポマス)が出ます。搾りかすにはペクチン、ポリフェノール類、食物繊維などが含まれますが、多くは今も埋め立て処分されています。家禽肉の加工でも骨や皮などの副産物が大量に出ており、その多くは価値の低い用途にとどまっています。

肉にはもともと食物繊維がほとんど含まれていません。食物繊維は、肉製品の保水性や食感を高めることが知られています。一方、鶏や七面鳥の皮は脂肪とコラーゲンを含み、製品の構造や食感に影響しうる素材です。

研究チームは、リンゴ搾りかす粉末、七面鳥の皮、氷水という3つの配合成分が、加熱した七面鳥ソーセージの性質にどう影響するかを調べました。性質には物理化学的特性、食感、官能評価(人が食べて評価する特性)が含まれます。さらに、3成分の最適な配合量を同時に見つけることを目指しました。

何を調べたか:3成分の量を変えた20通りの試作

リンゴ搾りかすは、果汁を搾った後の残りを凍結乾燥し、粉末にして使いました。この粉末の食物繊維含量は21%でした。配合量の範囲は、リンゴ搾りかす粉末が1〜5%、七面鳥の皮が20〜30%、氷水が15〜30%です。

研究には「応答曲面法」を用いました。これは、複数の材料の量を同時に変えた試作の結果から、配合と製品の性質の関係を数式で表し、最適な組み合わせを予測する統計手法です。研究チームは「中心複合計画」と呼ばれる実験の組み方に従い、20通りの配合を試作しました。それぞれについて、pH、加熱による歩留まり(加熱後にどれだけ重量が残るか)、色の明るさ・赤み・黄色み、硬さ、総合的な好ましさを評価しました。

主な結果:成分ごとに異なる影響

加熱歩留まりは、リンゴ搾りかす粉末を増やすと向上しました。七面鳥の皮や氷水を増やすと、反対に低下しました。著者らは、歩留まりの向上には搾りかすに含まれる食物繊維の保水性が関わっている可能性があるとしています。

色にも影響が見られました。リンゴ搾りかす粉末を増やすと、ソーセージは暗くなり、赤みと黄色みが増しました。七面鳥の皮や氷水を増やすと、明るさが増し、赤みは減りました。硬さについては、3成分のいずれも、増やすほどソーセージが柔らかくなる傾向が報告されています。その影響はリンゴ搾りかす粉末で最も大きいものでした。

総合的な好ましさは、評価パネルの採点で調べました。リンゴ搾りかす粉末と七面鳥の皮を増やすと、評価は下がりました。特に皮の影響が最も大きいものでした。一方、調べた範囲では、氷水を増やすと評価が上がりました。

これらの結果をもとに数値的な最適化を行った結果、最適配合はリンゴ搾りかす粉末4.45%、七面鳥の皮23.19%、氷水15.73%と算出されました。この配合で実際にソーセージを作って確かめたところ、測定値はおおむね予測と一致しました。

研究が示すこと

この研究は、果汁加工と家禽加工の副産物が、加熱ソーセージの歩留まり、色、硬さ、好ましさに成分ごとに異なる影響を与えることを示しました。性質ごとに有利・不利が分かれるため、配合の調整には複数の性質のバランスを取る必要があります。著者らは、こうした複数成分の配合を調整する手段として、応答曲面法が有用であると報告しています。

原著論文の著者・所属:Aigerim Koishybayeva(Department of Food Technology, Almaty Technological University, 050012 Almaty, Kazakhstan)、Yasin Uzakov(Department of Food Technology, Almaty Technological University, 050012 Almaty, Kazakhstan)、Shynar Kenenbay(Department of Food Technology, Almaty Technological University, 050012 Almaty, Kazakhstan)、Madina Kozhakhiyeva(Department of Food Technology, Almaty Technological University, 050012 Almaty, Kazakhstan)、Malgorzata Korzeniowska(Department of Functional Food Products Development, Wroclaw University of Environmental and Life Sciences, 50-375 Wroclaw, Poland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Aigerim Koishybayeva, Yasin Uzakov, Shynar Kenenbay, et al. Optimization of Juice- and Poultry-Industry By-Product Incorporation in Cooked Sausage Formulations Using Response Surface Methodology. Foods 2026-09-11. DOI: 10.3390/foods15183212. 原著ライセンス:CC BY.