著者の所属・活動拠点の国は、ロシアです。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
食生活の違いを三つの軸から調べる
研究チームは、食事の推奨量からのずれには、幅広い人に共通するもの、年齢や生まれた世代によって異なるもの、性別によって異なるものがあると考え、その特徴を調べました。栄養素や食品の摂取状況を整理し、それぞれに応じた予防的な対応を考えることが目的です。
対象は、ロシアのブリヤート共和国とイルクーツク州で、2022~2024年に健診などの機会に募集された18~76歳の1601人です。研究チームは、60項目の食品について摂取頻度や量を尋ねる質問票から日常的な摂取量を推定し、ロシアとWHOの基準と比較しました。また、生年を1943~1963年、1964~1984年、1985~2005年の三つに分け、世代間と男女間の違いを分析しました。
世代や性別を超えて見られた偏り
著者らは、飽和脂肪酸や塩分の過剰、カルシウムの不足を、世代や性別に共通する特徴として報告しました。飽和脂肪酸が総摂取エネルギーの10%を超えた人は95.1%、食塩相当量が1日5グラムを超えた人は93.4%でした。カルシウムの摂取量が必要量を下回った人は75.6%でした。
これらは特定の世代や性別だけに限られた問題ではなく、調査対象に広く見られた食事上の偏りとして位置づけられています。
若い出生年の群で目立った甘い飲料
一方、砂糖入り飲料の摂取には世代差が見られました。最も古い出生年の群と最も新しい群を比べると、飲む人の割合は男性で52.2%から74.7%へ、女性で20.2%から51.7%へと高くなっていました。男性では、食品や飲料に加えられた糖類が総摂取エネルギーの10%を超える人の割合も、8.7%から32.1%へと高くなっていました。
食品の組み合わせを分析した結果でも、砂糖入り飲料や菓子などを特徴とする食べ方は、男女とも若い出生年の群ほど強く見られました。ただし、これは同じ人を長期間追跡した研究ではありません。著者らは、この違いが年齢によるものか、生まれ育った時代によるものか、あるいは両方なのかは区別できないとしています。
性別による違いと、研究が示す意味
鉄の摂取量にも男女差がありました。性別ごとに設定された基準値を下回った割合は、女性では各世代で74.9~77.7%だったのに対し、男性では4.1~7.9%でした。これは質問票から推定した摂取量の結果であり、鉄欠乏や貧血を診断した結果ではありません。
著者らは、広い集団に共通する食事の偏り、若い成人で目立つ糖類の摂取、性別によって異なる栄養上の課題を分けて考える枠組みを提案しています。地域の調査結果であり、ほかの集団にも当てはまるかの確認は必要ですが、食事上の課題を一律に扱わず、共通点と集団ごとの違いの両方を捉える意味を示しています。
原著論文の著者・所属:Dmitry B. Nikityuk(Federal Research Centre of Nutrition, Biotechnology and Food Safety, 2/14 Ustinsky Proyezd, Moscow 109240, Russia; I.M. Sechenov First Moscow State Medical University (Sechenov University), Ministry of Health of the Russian Federation, Moscow 119991, Russia)、Olga G. Bogdanova(East-Siberian Institute of Medical and Ecological Research, 3, Microdistrict 12a, Angarsk 665826, Russia)、Irina A. Lapik(Federal Research Centre of Nutrition, Biotechnology and Food Safety, 2/14 Ustinsky Proyezd, Moscow 109240, Russia)、Inna Yu. Tarmaeva(Federal Research Centre of Nutrition, Biotechnology and Food Safety, 2/14 Ustinsky Proyezd, Moscow 109240, Russia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dmitry B. Nikityuk, Olga G. Bogdanova, Irina A. Lapik, et al. A Three-Axis Conceptual Framework for Dietary Risk: Universal, Age–Generational and Sex-Specific Deviations from Dietary Recommendations in a Cross-Sectional Study of Adults. Nutrients 2026-11-01. DOI: 10.3390/nu18213644. 原著ライセンス:CC BY.