レモンは輸送や貯蔵の過程で水分が抜けたり、カビが生えたり、酸味や色合いが変わったりします。生産者や流通の現場では、こうした変化をできるだけ抑えて、できるだけ長く品質を保つ方法が求められています。今回紹介するのは、トルコで栽培される種無しレモンの一品種『ギュルシェン』を対象に、貯蔵方法や包装の違いが果実の品質にどう影響するかを調べた研究です。

研究を行ったのは、Alata Horticultural Research Instituteに所属するZafer Karaşahin氏と、hatay mustafa kemal universityに所属するAhmet Erhan Özdemir氏です。

どのように調べたのか

研究チームは2019年と2020年に収穫したギュルシェン種のレモンを使い、2種類の保管環境で比較を行いました。一つはメルスィン県エルデムリ地区キュチュクフンドゥック高原にある生産者所有の常温貯蔵施設、もう一つはAlata Horticulture Research Instituteの低温貯蔵施設(温度10℃、相対湿度90%)です。

それぞれの貯蔵環境で、殺菌剤(防カビ剤)処理の有無と、バラ積み(包装なし)か個別包装(ラップ)かを組み合わせた4通りの条件(殺菌剤処理バラ積み・殺菌剤処理個別包装・無処理バラ積み・無処理個別包装)を設定し、12月初旬から8月までの最長8か月間貯蔵しました。さらに、貯蔵中の果実を定期的に取り出し、店頭に近い環境を想定して温度20℃・相対湿度70%の条件に7日間置き、その間の変化(棚持ち期間の品質変化)も調べています。

研究でわかったこと

貯蔵期間が長くなるにつれて、重量減少、カビによる腐敗や生理的な劣化、果皮の明るさを示すL*値、果汁含有量、可溶性固形分(糖度に関わる指標、TSS)、ビタミンC含有量は増加する一方で、見た目の評価、果皮の色調を示すh°値、緑色の果皮(グリーンキャップ)が残る果実の割合、滴定酸度(酸味の指標、TA)は低下する傾向が見られたと報告されています。

店頭を想定した20℃・7日間の棚持ち期間中にも、同様の傾向が確認されました。重量減少、果汁含有量、TSS、ビタミンC含有量は増加し、見た目の評価、h°値、緑色果皮の割合、TA含有量は低下したとされています。

これらの結果を踏まえて、研究チームは、殺菌剤処理の有無や包装の有無にかかわらず、ギュルシェン種の種無しレモンは常温貯蔵で4か月、低温貯蔵であれば最長6か月まで、一定の品質を保ちながら貯蔵できるとまとめています。

この研究を読むうえでの注意

この研究は特定の品種・特定の産地・特定の期間(2019年および2020年の収穫分)を対象にしたものであり、他の柑橘品種や異なる気候条件、異なる貯蔵設備でも同じ結果になるとは限りません。また、品質の変化は複数の指標(重量、色、酸度、糖度、ビタミンCなど)を組み合わせて評価されたものであり、いずれか一つの数値だけで「良い」「悪い」と単純に判断できるものではない点にも留意が必要です。一つの研究であり、結論が確定したわけではありません。

まとめ

本研究では、殺菌剤処理やバラ積み・個別包装といった貯蔵条件の違いによらず、ギュルシェン種の種無しレモンが常温で約4か月、低温で最長6か月程度、品質を保ちながら貯蔵できることが示されたと報告されています。貯蔵中や店頭を想定した期間では、重量・果汁量・糖度・ビタミンCの増加や、見た目・酸度の低下といった変化が共通して見られたとされており、今後の貯蔵管理の検討材料の一つになりうる知見といえます。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Zafer Karaşahin, Ahmet Erhan Özdemir. Effects of Applications and Packaging on the Common and Cold Storage of ‘Gülşen’ Seedless Lemons. 園芸研究(Horticultural Studies) (2026). DOI: 10.16882/hortis.2009594.