忙しい毎日の中で、自炊をするかどうかは人によって大きく異なります。家庭で調理した食事を食べる頻度が高いほど食生活の質が良い傾向にあると言われていますが、では「どんな要因が調理の頻度を左右するのか」については、まだわかっていないことが多くあります。今回紹介する研究は、食や食品に関する知識・行動を測る「食と食品リテラシー行動アンケート(EFLBQ)」を使い、18歳から30歳の女性を対象に、どのような因子が家庭での調理頻度と関係しているのかを調べたものです。
この研究では、第三者機関を通じて集められたアジア系107人、黒人113人、ヒスパニック108人、白人111人の女性が参加しました。参加者はEFLBQに回答し、そこから5つの因子スコアが算出されました。具体的には、F1(健康と栄養に関する意識)、F2(味)、F3(食事の準備・調理スキル)、F4(計画性・意思決定)、F5(利便性)という5つの因子です。あわせて、参加者の人口統計学的な特性(年齢など)や、実際に自宅でどのくらいの頻度で調理をしているかも measured されました。データは分散分析(ANOVA)やGames–Howellの事後検定、ピアソンの相関係数などを用いてグループ間の違いや変数間の関係が調べられ、さらに有意な予測因子は構造方程式モデリング(SEM)に組み込まれ、調理頻度を予測する統計モデルが作られました。
研究でわかったこと
分析の結果、F1(健康と栄養に関する意識)のスコアは、年齢と調理頻度の関係を仲立ちする「正の媒介因子」であることが示されました。つまり、年齢が高い参加者ほど健康や栄養への意識のスコアが高くなり、それが調理頻度の高さにつながるという関係が示唆されています。
一方で、F5(利便性)のスコアは、他の要因とは独立して調理頻度と負の相関を示しました。利便性を重視する意識が強い人ほど、自炊の頻度が低くなる傾向がある、という結果です。論文の著者らは、これらの結果を踏まえ、栄養教育に携わる人々がEFLBQのこうした因子のテーマ(健康・栄養への意識や利便性への意識など)を教育プログラムの内容に取り入れるとともに、調理を促す教育プログラムに参加した人の行動変化を測る指標として、これらの因子スコアを活用できるのではないかと述べています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、特定の年齢層(18~30歳)の女性を対象としたアンケート調査に基づくものであり、因果関係を直接証明するものではなく、あくまで変数間の関連や統計モデル上の予測を示したものです。調理頻度に影響する要因は他にも様々考えられ、今回の結果がすべての人に当てはまるとは限りません。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に留意して読んでいただければと思います。
まとめ
今回紹介した研究では、食と食品リテラシーに関するアンケートの因子スコアを使い、若い女性における家庭での調理頻度と関連する要因が調べられました。その結果、健康や栄養への意識の高さが年齢と調理頻度をつなぐ役割を果たしている可能性、そして利便性を重視する意識が調理頻度の低さと関連している可能性が示唆されています。今後、こうした知見が栄養教育や調理を促す取り組みにどう活かされていくか、注目されるところです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:食と食品リテラシー行動アンケートの因子スコアは調理頻度を予測する(ダイエティクス・2026年07月)