この研究は、オーストラリア、中国の研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food Chemistry X

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、キンモクセイ(Osmanthus fragrans)の果実の皮を、アントシアニンを利用した天然着色料の原料として使えるかどうかを調べました。アントシアニンは、果実や花の赤〜紫の色のもとになる植物色素の一群で、食品の色づけに使われる天然色素としても知られています。キンモクセイは花の香りで親しまれる樹木ですが、果実の皮に含まれる色素成分がどのようなもので、どのような性質を持つのかは、この研究が取り上げた課題です。

調べ方と主な報告結果

著者らは、酸を加えたエタノールを使って果皮からアントシアニンを抽出し、多孔質の樹脂に色素を吸着させる方法(マクロポーラス樹脂吸着)で精製しました。その結果、乾燥させた果皮から色素を多く含む抽出物が得られ、回収率は10.4 ± 0.2%であったと報告しています。

成分の分析にはHPLC–MS/MS(液体クロマトグラフィーと質量分析を組み合わせ、含まれる化合物を分離して特定する手法)が用いられました。その結果、抽出物の中で最も多いアントシアニンはシアニジン-3-O-ルチノシド(C3R)であることが示されました。著者らはあわせて、C3Rのモル吸光係数(一定量の物質がどれだけ光を吸収するかを表す値で、濃度を測る際の基準になります)を実験的に求め、C3Rを多く含む試料をより正確に定量できるようにしたと述べています。

精製した抽出物は、アントシアニンに典型的なpH依存的な色の変化を示し、pH 2.0〜4.0の酸性条件では安定した赤色を保ちました。加熱に対する安定性の実験では、C3Rの分解が温度とpHに強く左右され、その分解の進み方は一次反応速度論に従うことが示されました。さらに、DPPH法とFRAP法という二種類の試験で、抽出物に測定可能な抗酸化能が認められたと報告されています。

この報告が示すこと

著者らは、これらの結果から、キンモクセイの果皮がC3Rを豊富に含むアントシアニンの有望な供給源であり、酸性の食品系における天然着色料としての利用可能性を持つと結論づけています。色素の主成分が特定され、色の安定する条件と熱による分解のふるまいが示されたことは、これまで十分に調べられていなかった果皮という部位の素材としての性質を整理したものと言えます。

著者:Weiyi Xu(School of Agriculture, Food, and Ecosystem Sciences, Faculty of Science, The University of Melbourne, Parkville, VIC 3010, Australia)、Yutong Meng(College of Pharmaceutical Sciences, Zhejiang University of Technology, Hangzhou 310014, China)、Fan Yu(School of Food Science and Biotechnology, Zhejiang Gongshang University, Xuezheng Street No. 18, Hangzhou 310018, China)、Huanfeng Ye(School of Food Science and Biotechnology, Zhejiang Gongshang University, Xuezheng Street No. 18, Hangzhou 310018, China)、Xuejiao Xu(College of Biology and Environmental Engineering, Zhejiang Shuren University, Hangzhou 310018, China)、Jie Chen(School of Food Science and Biotechnology, Zhejiang Gongshang University, Xuezheng Street No. 18, Hangzhou 310018, China)、Xianrui Liang(College of Pharmaceutical Sciences, Zhejiang University of Technology, Hangzhou 310014, China)、Sheng Fang(School of Food Science and Biotechnology, Zhejiang Gongshang University, Xuezheng Street No. 18, Hangzhou 310018, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Weiyi Xu, Yutong Meng, Fan Yu, et al. A cyanidin-3-O-rutinoside dominant anthocyanin system from Osmanthus fragrans fruit peel: Composition, color behavior and thermal stability. Food Chemistry X 2026-08-31. DOI: 10.1016/j.fochx.2026.104392. 原著ライセンス:CC BY.