この研究は、ニュージーランドの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Sustainable Futures

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

気候変動をはじめとする課題を受けて、天候に左右されにくく資源効率の高い新しい生鮮野菜・果物の生産技術の開発が進められています。研究チームが取り上げたのは、屋内農業などの「管理環境農業(CEA)」と呼ばれる、温度や光などを人工的に管理した施設で作物を育てる方法、そして関連技術である遺伝子編集(作物の遺伝情報に手を加える技術)と、ロボット・自動化システムです。

一方で著者らは、こうした新しい技術で作られた農産物の安全性や品質について、消費者には懐疑や不確かさが残っていると述べています。そこでこの研究は、消費者が生鮮品を選ぶときに六つの製品特徴——屋内農業、遺伝子編集、ロボット・自動化という技術に関わる三つに加えて、価格、見た目、農薬の使用——をそれぞれどの程度重視するのかを明らかにすることを目的としました。あわせて、屋内農業と屋外農業に対する態度の違いを詳しく理解することも目指しています。

調べ方

研究チームは、ニュージーランドの消費者1,000人を対象にオンライン調査を実施しました。中心となったのは「選択型コンジョイント実験」と呼ばれる手法で、特徴の組み合わせが異なる商品の選択肢を回答者に提示し、実際にどれを選ぶかを繰り返し尋ねることで、各特徴の相対的な重要度を推定するものです。対象とした生鮮品は、りんご、ブロッコリー、にんじん、レタスの4種類でした。選択実験のあとには、態度を尋ねるリッカート尺度(「そう思う」から「そう思わない」まで段階的に答える形式)の質問が続けられました。

主な報告結果

選択実験の結果、最も重要な特徴は農薬散布が行われていないことであり、次いで遺伝子編集が用いられていないことでした。3番目に重要な特徴は品目によって分かれ、りんごとブロッコリーでは屋外農業で栽培されていることが、にんじんとレタスでは価格が挙がっています。

また、4種類の生鮮品の間で好みを比較したところ、品目によって選好は有意に異なっていました。屋内農業の手法に対しては、若く、学歴が高い、都市部の消費者が最も受け入れに前向きであったと報告されています。

この研究が示すこと

著者らは、これらの知見が新しい園芸技術に対する消費者の懸念とニーズを明らかにするものであり、技術開発や効果的なマーケティング・コミュニケーションに役立ち、社会的な受容(ソーシャル・ライセンス)の向上につながりうると述べています。消費者の関心が農薬や遺伝子編集の有無に強く向かうこと、そして同じ「野菜・果物」でも品目ごとに判断が変わることは、新技術を社会に届ける側が何を説明すべきかを考えるうえでの手がかりになります。

著者:Alexander Schnack(Bioeconomy Science Institute., 120 Mt. Albert Rd, Sandringham, Auckland, 1025, New Zealand)、Jennifer Young(Bioeconomy Science Institute., 120 Mt. Albert Rd, Sandringham, Auckland, 1025, New Zealand)、Catherine Frethey‐Bentham(Department of Marketing, University of Auckland, Business School, 12 Grafton Rd, Auckland, 1010, New Zealand)、Mao-Tang Lin(Bioeconomy Science Institute., 120 Mt. Albert Rd, Sandringham, Auckland, 1025, New Zealand)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Alexander Schnack, Jennifer Young, Catherine Frethey‐Bentham, et al. Consumer choice preferences for sustainable fruit and vegetable production technologies. Sustainable Futures 2026-08-31. DOI: 10.1016/j.sftr.2026.102100. 原著ライセンス:CC BY.