この研究は、マレーシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Cogent Business & Management

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

大豆やえんどう豆など植物由来の原料でつくられた「植物性食品(プラントベース製品)」は、環境の悪化や健康への関心を背景に、持続可能な食生活の選択肢として位置づけられつつあります。著者らは、こうした製品を消費者が買いたいと思う気持ち(購買意図)が、どのような要因と結びついているのかを明らかにしようとしました。

この研究が注目したのは三つの要因です。環境問題への意識(環境意識)、その製品が健康に良いと感じる度合い(知覚された健康便益)、そしてSNS上での商品情報の発信やプロモーション(ソーシャルメディア・マーケティング)です。著者らはさらに、これらの要因が購買意図に直接つながるのではなく、製品に対する「態度」——好ましいと思うかどうかという評価——を介して結びつくのではないかと考えました。

どのように調べたか

著者らは、消費者行動を説明する二つの理論的な枠組みを組み合わせて分析の土台としました。一つは「刺激-生体-反応(SOR)」モデルで、外部からの刺激が人の内面の状態を変え、それが行動として表れるという考え方です。もう一つは「合理的行為理論(TRA)」で、行動の意図は本人の態度によって形づくられるとする理論です。この二つを統合することで、環境意識・健康便益の知覚・SNSマーケティングという刺激が、態度という内面の状態を経て、購買意図という反応に至る道筋を検討しました。

調査は、マレーシアの首都圏にあたるクランバレー地域の消費者を対象に行われ、有意抽出法(調査目的に合う対象を意図的に選ぶ方法)によって337件の回答が集められました。分析には部分最小二乗構造方程式モデリング(PLS-SEM)という統計手法が用いられ、複数の要因のあいだの関係を同時に検証しています。

報告された主な結果

著者らの報告によれば、環境意識、知覚された健康便益、ソーシャルメディア・マーケティングのいずれもが、植物性食品に対する態度と正の関係を示しました。つまり、環境への関心が高い人、健康に良いと感じている人、SNSでの情報発信に接している人ほど、この種の製品を好意的に評価する傾向がみられたということです。

また、植物性食品に対する態度は購買意図と正の関係にあることも確認されました。そのうえで著者らは、態度が単なる一要素ではなく、上記の三つの要因を購買意図へと橋渡しする重要な媒介的役割を担っていると指摘しています。なお、これらはいずれもある時点での回答から見いだされた関連であり、原因と結果の関係を直接示したものではありません。

この研究が示すこと

この結果は、植物性食品の普及を考えるうえで、消費者の「態度」が鍵になる位置にあることを示しています。環境や健康への訴えかけ、SNSを通じた情報の届け方は、それ自体が直接購買につながるというより、まず製品への見方を変えることを通じて意味を持つ、という構図です。

著者らは、この知見が研究者だけでなく、実務者や政策立案者にとっても理論・実践の両面で示唆を持ち、持続可能な消費の後押しに資すると述べています。調査はマレーシアのクランバレー地域の回答者に基づくものであり、そこで観察された関係を伝えるものです。

著者:Man Seong Chan(Centre for Management and Marketing Innovation (CMMI), CoE for Business Innovation and Communication, Faculty of Management, Multimedia University)、Chi Hau Tan(Centre for Management and Marketing Innovation (CMMI), CoE for Business Innovation and Communication, Faculty of Management, Multimedia University)、Kyra Ley Sy Law(Centre for Management and Marketing Innovation (CMMI), CoE for Business Innovation and Communication, Faculty of Management, Multimedia University)、Weng Kong Chim(Teh Hong Piow Faculty of Business and Finance, Universiti Tunku Abdul Rahman)、Ling meng Chan(Department of Management, Tunku Abdul Rahman University of Management and Technology)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Man Seong Chan, Chi Hau Tan, Kyra Ley Sy Law, et al. Environmental consciousness, perceived health benefits, and social media marketing in Malaysians’ plant-based product purchase intentions: an integrated SOR–TRA model. Cogent Business & Management 2026-08-28. DOI: 10.1080/23311975.2026.2722856. 原著ライセンス:CC BY.