警察官という仕事は、体力を要する場面が多く、交代制勤務が続き、いつ何が起きても対応できる状態を保つ必要がある、特殊な職業です。そうした職業的な特徴は、食生活や体調にどのような影響を与えているのでしょうか。今回紹介する研究は、ポーランドの警察官を対象に、日頃の食習慣と体組成(体重や体脂肪の状態)を調べたものです。制服を着て働く職業集団の健康については、これまで詳しく調べられた例が少なく、食習慣や栄養状態の実態はあまり知られていませんでした。

研究でわかったこと

この研究は、ポーランド警察官262名(男性216名、女性46名、19歳から64歳)を対象とした横断研究です。横断研究とは、ある時点での状態を調査する研究方法で、原因と結果の関係を直接証明するものではありません。調査では、61項目からなる食物摂取頻度調査(FFQ)を用いて、どのような食品をどれくらいの頻度で食べているかを尋ね、さらに生体電気インピーダンス分析という方法で体組成(体脂肪量など)を測定しました。

その結果、果物、野菜、全粒穀物、乳製品、ナッツ・種子類といった食品群について、摂取頻度が望ましい水準に達していない傾向がみられたと報告されています。また、性別による違いも示されました。女性警察官は男性警察官と比べて、果物・野菜・穀物をより頻繁に摂取していたのに対し、加工肉、動物性脂肪、糖入り飲料、エナジードリンク、ビール、スピリッツ類の摂取頻度は低い傾向にあったとされています。

体格に関する結果も示されています。BMI(体格指数)の基準で「正常体重」とされたのは参加者の33%にとどまり、一方で体脂肪量の指標(脂肪量指数)で「正常」とされたのはわずか16%だったと報告されています。さらに、参加者の67%が過体重の状態にあり、82%が体脂肪過多の状態にあったことが示されました。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、ポーランドの国民健康プログラムに参加した警察官という特定の集団を、ある一時点で調査したものです。横断研究という手法の性質上、食習慣と体組成の関係が「なぜ」そうなっているのかという因果関係までは明らかにされていません。また、調査対象がポーランドの警察官であるため、他の国や他の職業集団にそのまま当てはまるとは限りません。今回の結果は一つの研究による知見であり、これだけで結論が確定したわけではない点に留意する必要があります。

研究者らは、これらの結果から、警察官という職業集団に対して栄養に関する教育や健康増進のための取り組みを行うこと、そして今後も食習慣や栄養状態を継続的に把握していくことの必要性が示唆されると述べています。

まとめ

今回紹介した研究では、ポーランドの警察官において、果物や野菜、全粒穀物などの摂取頻度が十分でない傾向がみられ、過体重や体脂肪過多の割合が高いことが示されました。また、女性警察官の方が男性警察官よりも健康的とされる食習慣を示す傾向があったことも報告されています。体力とシフト勤務が求められる警察官の健康を支えるうえで、食習慣への注目が一つの視点になりうることを示す研究といえるでしょう。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ポーランド警察官における食習慣と栄養状態:国民健康プログラムにおける横断研究(ニュートリエンツ・2026年07月)