この研究は、台湾の研究機関の研究論文です。
掲載誌:Journal of Agricultural and Food Chemistry
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を目的とした研究か
脂肪が過剰にたまる一方で筋肉が減っていく状態は、代謝の不調を考えるうえで重要な問題として知られています。研究チームは、乳酸菌の一種であるラクチプランチバチルス・プランタルムでブロッコリーを発酵させた素材(以下、発酵ブロッコリー)に注目し、これを与えることで代謝や筋肉の状態がどう変わるのかを調べました。
実験には、高脂肪・高果糖の食事を与えたC57BL/6J系統のマウスが用いられました。この食事は、脂肪の蓄積や代謝の乱れを起こしやすくするために使われるものです。
調べた方法と報告された結果
研究チームはまず、LC–MS(液体クロマトグラフィー質量分析)という手法で発酵ブロッコリーに含まれる成分を調べました。その結果、発酵によって2-ヒドロキシカプロン酸、3-フェニル乳酸、テトラヒドロ-β-カルボリン誘導体といった代謝物が生じていたと報告しています。
マウスに発酵ブロッコリーを与えたところ、内臓脂肪の蓄積、肝臓への脂肪沈着(脂肪肝)、インスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンが効きにくくなる状態)がいずれも抑えられ、握力は保たれたと報告されています。
ふくらはぎの筋肉である腓腹筋では、筋タンパク質の合成にかかわるIRS1/PI3K/Akt経路およびmTOR/p70S6K/4E-BP1経路のリン酸化が高く、逆に筋肉の分解にかかわる酵素であるAtrogin-1とMuRF-1の発現が低いという関連がみられました。
さらに、腸内細菌を16S rRNA遺伝子の解析で調べたところ、発酵ブロッコリーを与えた群では腸内細菌の構成が変化しており、酪酸をつくる細菌であるAnaerostipes hominisとBifidobacterium pseudolongumが増えていたとしています。
この報告が示すもの
研究チームは、発酵ブロッコリーの摂取が、代謝の不調の軽減と筋機能の維持に関連しており、それには発酵によって生じた代謝物と腸内細菌の構成の変化が伴っていたと結論づけています。
食品を発酵させることで生まれる成分と、それが腸内細菌にもたらす変化が、脂肪の蓄積と筋肉の減少という二つの問題を同時に見ていくうえでの手がかりになりうることを、この動物実験は示しています。
著者:Ya-Ru Kuo(National Taiwan University , , ,)、Tzu-Ling Lin(National Taiwan University , , ,)、Pin-Yu Ho(National Taiwan University , , ,)、Wei-Jen Chen(Syngen Biotech Co., Ltd. , , ,)、Hui-Fang Chu(Syngen Biotech Co., Ltd. , , ,)、Ming-Chung Tseng(Syngen Biotech Co., Ltd. , , ,)、Yu-Shan Wei(Syngen Biotech Co., Ltd. , , ,)、Min‐Hsiung Pan(Asia University , , ,)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ya-Ru Kuo, Tzu-Ling Lin, Pin-Yu Ho, et al. Lactiplantibacillus plantarum -Fermented Broccoli Attenuates Metabolic Dysfunction and Improves Skeletal Muscle Quality in High-Fat/High-Fructose Diet-Fed Mice. Journal of Agricultural and Food Chemistry 2026-09-28. DOI: 10.1021/acs.jafc.6c05322. 原著ライセンス:CC BY.