EPAは、魚の油に含まれる成分です。そう聞くと、牛や豚、鶏といった肉にはEPAがないのか、それとも少しは含まれているのかが気になります。

そこで今回は、牛・豚・鶏に羊の肉の「ラム」を加えた四つの肉で、EPAの量を確かめます。牛は輸入牛肉、鶏は若どりを取り上げ、ラムという呼び名が羊の肉のどの区分を指すのかもあわせて見ていきます。部位はどれも「もも」で、焼いた状態の値を使います。

EPAは魚の脂質に多い脂肪の一種

EPAはイコサペンタエン酸(エイコサペンタエン酸とも呼ばれます)の略で、魚油、つまり魚の油に含まれる成分です。特にいわしやまぐろなど海の魚の脂質に多く含まれる脂肪酸の一種で、食べ物や人の体に含まれる脂肪の仲間に入ります。魚だけでなく、甲殻類にも含まれています。n-3系の多価不飽和脂肪酸で血中中性脂肪を減らす働きがあるとされ、青背魚に多く含まれます。

このあと載せる表では、成分表の名前に合わせて「イコサペンタエン酸」と書いています。

今回比べる四つの肉

牛肉は「輸入牛肉」のももです。輸入牛肉はオーストラリアやアメリカから来るものが多く、冷蔵または冷凍で輸入されます。外国の牛肉生産では牧草を主な飼料にする方法が主流ですが、日本向けの牛は穀類を中心とした飼料で育てられています。

ラムは羊の肉です。羊の肉は年齢で呼び分けられていて、生後1年未満のものがラム、生後1年以上のものがマトンです。成分表で分析されたラムは、ニュージーランドとオーストラリア産のものです。

成分表に載っているラムのももは「脂身つき」の生と焼きの二つだけで、皮下脂肪を除いたものはありません。今回はほかの肉と同じ「もも・焼き」で見るため、脂身つきの値を使います。一方、牛と豚は皮下脂肪を除いたもも、鶏は皮を除いたもも(成分表では皮下脂肪も除いたもの)です。

豚は成分表で「大型種肉」と書かれた区分です。売られている豚肉は大型種どうしを掛け合わせた豚が大部分を占め、生後5~6か月、体重100kgほどで食用になります。

鶏は「若どり」のももで、ブロイラーとも呼ばれます。ブロイラーは昭和30年代に輸入されてから急速に広まり、市場に出回る鶏肉の多くはこの若鶏肉です。

四つの肉のEPAを同じ重さで比べる

成分表の値はすべて可食部100gあたりです。可食部とは、食品から普段の食べ方で捨てる部分を除いた、食べられる部分のことです。下の表は、焼いた肉の食べられる部分100gに含まれるEPAの量を示しています。

食品イコサペンタエン酸(mg)
牛(輸入牛肉・もも・皮下脂肪なし・焼き)32
めんよう(ラム・もも・脂身つき・焼き)31
豚(もも・皮下脂肪なし・焼き)1
鶏(若どり・もも・皮なし・焼き)2

四つの肉すべてに値があり、魚の成分として説明されるEPAが、今回の肉にも含まれていることが分かります。量には大きな開きがあり、輸入牛肉とラムのももは、豚や鶏のももより29~31mg多くなっています。

ただし、ラムだけは脂身つき、ほかの三つは皮下脂肪や皮を除いたものです。そのため、この表は条件を一つだけ変えた比較ではなく、成分表に載っているそれぞれの肉の値の違いとして読みます。

肉の中にもEPAはある

「魚の油に含まれる成分」という説明は、EPAが肉にないことまで意味するわけではありませんでした。今回確かめた輸入牛肉、ラム、豚、鶏のもも焼きのどれにも、EPAは含まれていました。

EPAをもっと多く含む食品も知りたい方は、イコサペンタエン酸を多く含む食品の一覧で、可食部100gあたりの量が多い順に食品を確かめられます。

※食品・栄養素の参考資料:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 説明・肉類の留意点、脂肪酸:農林水産省、厚生労働省の資料:イコサペンタエン酸(PDF・18ページ)