掲載誌:Health science reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: Europe PMC

何を明らかにしようとしたのか

血圧は心血管疾患の主要な危険因子であり、生活習慣の影響を強く受けます。果物や野菜を多く含む食事が血圧を下げることは以前から知られており、その背景としてカリウム摂取の増加や血管の拡張に関わる仕組みが挙げられてきました。キウイフルーツは食物繊維、カリウム、ビタミンCや各種の抗酸化成分を多く含む果物で、著者らによれば、これまでの研究で心臓の健康に良い性質が報告されてきたといいます。

ただし、個々の無作為化比較試験(参加者をくじ引きのように介入群と対照群に割り振る試験)の結果は一致していませんでした。研究チームは、血圧そのものに焦点を絞った統合解析がまだ行われていない点を出発点として、成人におけるキウイフルーツ摂取が収縮期血圧(心臓が縮んだときの上の値)と拡張期血圧(下の値)にどう影響するかを、数量的にまとめて評価することを目的としたと述べています。

どのように調べたか

著者らは、複数の文献データベースを用いてキウイフルーツに関する無作為化比較試験を網羅的に探し、あわせて参考文献リストの確認など手作業での検索も行いました。対象としたのは、18歳以上の成人が2週間以上キウイフルーツを食べ、キウイフルーツの有無だけが異なる対照群が置かれ、血圧の結果が報告されている試験です。抽出物や加工品を用いたもの、他の果物やサプリメントと組み合わせた介入、対照群のない研究などは除外されました。

論文によれば、当初841件が見つかり、重複や条件に合わないものを順に除いた結果、最終的に6件の無作為化比較試験が解析対象となりました。複数の介入群を持つ試験があるため、解析には10個の効果量(比較の単位)が用いられています。研究の場所はノルウェー、ニュージーランド、イタリアで、追跡期間は7〜20週間、参加人数は20〜106人と幅がありました。参加者は喫煙者、歯周炎のある人、コレステロール値の高い男性、軽度の高血圧の人、健康な人、糖尿病予備群など多様です。統合には研究間のばらつきを織り込む統計手法が用いられ、あわせて研究の偏り(バイアス)の評価や、結果の頑健さを確かめる感度分析、証拠の確実性を等級づけるGRADEという評価も実施されました。

報告された主な結果

研究チームの統合解析では、対照群と比べてキウイフルーツの摂取により収縮期血圧が平均5.73 mmHg低下し(95%信頼区間 −9.02〜−2.44)、拡張期血圧は平均4.08 mmHg低下した(同 −6.07〜−2.10)と報告されています。いずれも統計的に意味のある差とされました。一方で、研究間の結果のばらつき(異質性)は大きく、収縮期で80.4%、拡張期で79.7%と報告されています。

参加者の条件別に分けた解析では、1日3個の摂取で収縮期血圧の低下が9.10 mmHg、拡張期で5.74 mmHgと、より大きな変化が報告されました。1日2個では収縮期に有意な差はみられず、拡張期では2.30 mmHgの低下でした。体格指数(BMI)が標準範囲の人、もともと血圧が高めの人、男性のみの試験で、より大きな低下が報告されています。ただし著者らは、こうした区分ごとの解析には含まれる研究や参加者が少ないものがあり、偶然の結果である可能性を考えて慎重に読む必要があると注意しています。

発表されやすい結果に偏る出版バイアスの兆候は認められず、1件ずつ研究を外して計算し直しても全体の推定値は大きく変わらなかったと報告されています。6件のうち5件は偏りのリスクが低いと判定され、1件は高いと判定されました。証拠の確実性は、研究間のばらつきの大きさを理由に「中程度」と評価されています。

この研究が示すこと

著者らは、これが無作為化比較試験のみに基づいてキウイフルーツと血圧の関係を評価した初めての系統的レビュー・統合解析だとしています。結果は、キウイフルーツの摂取が血圧の管理に寄与しうる可能性を示すものでしたが、同時に、対象となった試験がわずか6件であること、研究間のばらつきが大きいこと、参加者の背景が偏っていること、介入期間が比較的短いことという限界も明記されています。

つまり現時点で示されたのは、限られた数の試験を束ねたときに血圧の低下が観察されたという事実と、その解釈には幅があるということです。著者らは、より規模が大きく追跡期間の長い試験による確認が必要だと結論づけています。

著者:Mohammadi SG(Department of Clinical Nutrition, School of Nutrition and Food Sciences Isfahan University of Medical Sciences Isfahan Iran.)、Haghighat N(Laparoscopy Research Center Shiraz University of Medical Sciences Shiraz Iran.)、Dehghani A(Micronutrient Research Center, Research Institute for Endocrine Disorders, Research Institute for Endocrine Sciences Shahid Beheshti University of Medical Sciences Tehran Iran.)、Rafiei MM(School of Kinesiology and Physical Activity Sciences Université de Montréal Montréal Canada.)、Pam P(Department of Clinical Nutrition Tabriz University of Medical Sciences Tabriz Iran.)、Amirkhan-Dehkordi M(Department of Physical Education and Sport Sciences Islamic Azad University Tehran Iran.)、Goudarzi MA(Faculty of Veterinary Medicine University of Lisbon Lisbon Portugal.)、Asbaghi O(Cancer Research Center Shahid Beheshti University of Medical Sciences Tehran Iran.)、Naderian M(Department of Pharmacognosy, School of Pharmacy Shiraz University of Medical Sciences Shiraz Iran.)、Hosseini A(Medicinal Plants Research Center Yasuj University of Medical Sciences Yasuj Iran.)、Karimi M(Faculty of Medicine Bogomolets National Medical University (NMU) Kyiv Ukraine.)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mohammadi SG, Haghighat N, Dehghani A, et al. Effects of Kiwifruit Consumption on Blood Pressure in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. Health science reports 2026-08-26. DOI: 10.1002/hsr2.73126. 原著ライセンス:CC BY.