キウイフルーツと聞くと、ニュージーランドや日本など各地で栽培されている果物を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし栽培品種のもとになる野生の遺伝資源は、寒冷で標高の高い地域にひっそりと自生していることがあります。今回紹介する研究は、インド北東部シッキム州の北シッキム県、標高の高いラチュンおよびラチェン地域に自生する野生キウイフルーツ「Actinidia callosa var. strigillosa」を対象に、果実の特徴を調べたものです。
研究でわかったこと
研究チームは2021年から2023年にかけて、この地域に分布する野生キウイフルーツの雌株(果実をつける株)81系統を対象に、果実の形態や成分を調べる予備的な特性評価を行いました。その結果、9つの有望な雌株系統が、今後の遺伝資源として活用できる可能性がある系統として選び出されました。
これら9系統のうち、特徴はそれぞれ異なっていたと報告されています。SKNLC-18とSKNLC-14は果実の重さが最も大きく、SKNFF-05とSKNLA-16はビタミンC含有量が最も高く、SKNLA-15とSKNLC-16は糖と酸の比率(甘味と酸味のバランスの指標)が最も高い値を示しました。また、SKNZM-09とSKNLC-10は1株あたりの収量が最も多く、SKNFF-07は果肉の色が緑がかった黄色である点が特徴として挙げられています。
さらに、これら9つの優良系統について、9段階評価法(9-point hedonic scale、味や食感などの好ましさを9段階で評価する官能評価の手法)を用いた官能評価も実施されました。その結果、総合的な満足度(overall acceptability)が最も高かったのはSKNLC-18とSKNLA-16であったと報告されています。
研究チームは、これら9系統を、寒さに強いキウイフルーツ品種の育種や、ヒマラヤの高標高地域での栽培拡大に向けた植物遺伝資源(PGR)として期待できると位置づけています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、あくまで果実の形態や成分、収量などを対象とした予備的な特性評価であり、9系統が実際に優れた栽培品種として確立されたことを示すものではありません。育種利用の可能性を探る初期段階の調査という位置づけである点に留意する必要があります。また、今回の評価は特定の2地域・特定の期間に採取された果実に基づくものであり、他の産地や年による変動については触れられていません。
まとめ
今回の研究は、インド北東部の高地に自生する野生キウイフルーツから、果実の大きさやビタミンC含有量、糖酸比、収量、味の評価などに優れた系統を見出したという内容です。これらは今後、寒冷地向けキウイフルーツの品種改良に活用できる遺伝資源の候補として報告されていますが、実際の栽培品種化にはさらなる研究が必要になると考えられます。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Abhilash Padhan, Dinesh Singh Thakur, Vishal Singh Rana, et al. Preliminary characterization and assessment of wild Actinidia callosa var. strigillosa female accessions as potential genetic resources from North Sikkim, India. インディアン・ジャーナル・オブ・プラント・ジェネティック・リソーシズ (2026). DOI: 10.56093/ijpgr.v39i2.176004. 原著ライセンス: cc-by-nc-sa.