著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Journal of Fisheries and Zoological Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、発芽と発酵を施したトウジンビエが、コイ科の養殖魚ロフー(Labeo rohita)の飼料原料として利用できるかを調べました。養殖では飼料費が運営費の大きな割合を占めるため、身近に入手できる原料で栄養を確保することが課題になっています。

トウジンビエは乾燥などの厳しい条件でも育つ穀物です。一方、穀物には栄養の利用を妨げる成分も含まれます。著者らは、こうした成分を減らす方法として知られる発芽と発酵を組み合わせて加工し、小麦由来原料の代わりに配合した場合の成長や体の状態を評価しました。

何を、どのように調べたか

研究チームは、トウジンビエを水に12時間浸した後、24時間発芽させ、水と混ぜて32時間自然発酵させました。その後、乾燥して粉にし、飼料全体に占める配合率を0、5、10、15、20、25、30%とする7種類の飼料を作りました。配合率を増やす分だけ小麦由来原料を減らし、粗たんぱく質は約35%になるように設計しました。

各飼料について20匹ずつの水槽を3つ設け、試験開始時の平均体重が約2.7~2.8グラムのロフー稚魚を8週間飼育しました。餌は1日2回、魚が食べなくなる程度まで与えました。体重と摂餌量から成長や飼料の利用効率を調べ、試験終了時には血液成分と肝臓の抗酸化に関わる指標も測定しました。

主な報告結果

論文は、加工トウジンビエの配合率を20%まで高めるにつれて、成長と飼料の利用効率が改善したと報告しています。8週間の1匹当たり平均体重増加量は、無配合の対照群が5.95グラムだったのに対し、20%配合群では16.07グラムでした。

体重を1グラム増やすのに必要だった乾燥飼料の量を示す飼料要求率は、対照群の2.97に対して20%配合群では1.67でした。この値は低いほど、少ない飼料で体重が増えたことを表します。25%、30%配合群では、成長や飼料要求率について20%配合群との統計的に有意な差は認められませんでした。

血液では、ヘモグロビン濃度、赤血球数、血液中で赤血球が占める割合が20%配合まで上昇し、それ以上ではおおむね横ばいだったと報告されています。肝臓では、活性酸素の処理に関わる酵素の働きが高まり、脂質の酸化による傷みの指標であるマロンジアルデヒドが減少しました。著者らは、これらを抗酸化状態の改善を示す結果と捉えています。

この報告が示すこと

研究チームは、発芽・発酵させたトウジンビエを飼料全体の20%配合することが、ロフー稚魚向けの飼料づくりに有用だと結論づけました。この報告が示すのは、今回の8週間の稚魚飼育条件で、小麦由来原料の一部を加工トウジンビエに置き換えられる可能性です。著者らは、この知見を費用対効果のよい養殖用飼料の開発につながるものと位置づけています。

原著論文の著者・所属:Noorin Zafar(Department of Zoology, Aligarh Muslim University, Aligarh (Uttar Pradesh) -India)、Sana Naz(Department of Zoology, Aligarh Muslim University, Aligarh (Uttar Pradesh) -India)、Mukhtar A Khan(Department of Zoology, Aligarh Muslim University, Aligarh (Uttar Pradesh) -India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Noorin Zafar, Sana Naz, Mukhtar A Khan. Nutritional efficacy of processed pearl millet (Pennisetum glaucum) in practical feeds for fingerling Labeo rohita. Journal of Fisheries and Zoological Sciences 2026-11-02. DOI: 10.65385/jfzs0029. 原著ライセンス:CC BY.