この研究は、中国の研究機関の研究論文です。

掲載誌:Frontiers in Public Health

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

子どもや若者の過体重・肥満は、代謝や骨格、心理社会的な面など幅広い健康課題と関連することが知られています。中国では食のあり方や交通、学校生活、都市環境が急速に変化するなかで、子どもの体格にも変化が生じてきました。こうした背景から、変えられる生活習慣に注目が集まっていますが、身体活動、座って画面を見る時間、食事の内容は互いに独立して存在するわけではなく、同じ家庭・学校・地域の事情のもとで同時に起こります。研究チームは、こうした行動を一つずつ別々に見るのではなく、組み合わせのパターンとしてとらえる方法に着目しました。

そこで著者らは、中国健康栄養調査(CHNS)の2004年、2006年、2009年、2011年のデータを用い、身体活動の総量、娯楽目的の画面視聴時間、食事全体のエネルギーに脂質が占める割合という三つの指標で定義される行動の「プロファイル(類型)」を特定することを第一の目的としました。さらに、そうして選ばれたプロファイルが、同じ時点で測定された過体重・肥満とどのように関連するかを調べることを第二の目的としています。

調べた対象と方法

対象は、上記4回の調査時点で在学中と記録された6〜17歳の子ども・青少年です。分析の単位は「一人の参加者のある調査回の記録」であり、同じ参加者が複数回の調査に含まれることもあります。プロファイルを推定する主分析には4,112件の記録が使われ、年齢や性別、調査回、都市・農村の別、省、世帯所得、都市化の指標、総エネルギー摂取量まで揃った4,068件(2,757人)が、調整済みの関連分析に用いられました。

身体活動は学校での活動、学校外の余暇活動、徒歩や自転車による通学の三つの領域をまとめ、活動の種類ごとに決められた強度の値を掛け合わせて週あたりの量として算出しています。画面視聴時間は、テレビ、ビデオ・VCD・DVDの視聴、テレビゲームの合計としました。パソコンやインターネットの項目は、調査回ごとに内容や有無が変わったため主指標には含まれていません。食事は3日連続の24時間思い出し法に基づく平均値から、脂質がエネルギーに占める割合を求めました。体重の状態は、実測した身長・体重から算出したBMIを、中国の衛生業界標準WS/T 586–2018の年齢・性別ごとの基準にあてはめて分類しています。

行動の組み合わせの類型化には、混合分布モデルと呼ばれる統計手法を用い、1から6までの類型数の当てはまりを比較しました。ここでいう「プロファイル」は、指標のばらつきを統計的に要約したものであって、自然に存在する明確に区切られた集団の型ではないと著者らは明記しています。また、各記録がどの類型に属するかは確率として得られるため、その不確かさを分析に反映させる手続きや、同じ参加者の繰り返し記録を考慮した標準誤差の計算が行われました。なお、この4回の調査に一貫して使える個人単位の重み付けが存在しないため、分析は重み付けなしで行われており、著者らは全国を代表する有病割合の推定値としては解釈できないと述べています。

報告された主な結果

あらかじめ定めたモデルでは、五つのプロファイルが選ばれました。活動量が非常に少ない群(6.9%)、活動量が低〜中程度で脂質の割合が低めの群(37.8%)、娯楽目的の画面視聴時間がゼロと回答した群(5.4%)、脂質の割合が高めの群(27.8%)、そして活動量が非常に多い群(22.2%)です。画面視聴時間ゼロの群について著者らは、この時期の調査で測られた娯楽目的の画面行動が報告されなかったことを示すものであり、座っている時間全体が少ないことを意味するわけではない、と注意を促しています。

同時に、この類型化には限界も報告されています。最も当てはまりのよい類型数は調査回や年齢層、モデルの設定によって変わり、2004年は2つ、2006年と2009年は5つ、2011年は6つが選ばれました。また、全記録の48.4%は、最も可能性の高い類型への所属確率が0.70に届いていませんでした。つまり、多くの子どもはどれか一つの類型にはっきり収まるわけではありません。

体重の状態との関係では、所属の不確かさを考慮した過体重・肥満の割合は、活動量が非常に少ない群で最も高く24.4%、基準とした低〜中程度活動・低脂質の群では16.4%でした。しかし、この見た目の差は、年齢・性別・調査回・居住地・所得・都市化・省・総エネルギー摂取量などを調整すると小さくなり、オッズ比は1.18(95%信頼区間0.81〜1.69)となりました。調整後にプロファイル全体の違いを検定した結果も統計的に有意ではありませんでした(p = 0.806)。過体重と肥満を分けて扱ったモデル、BMIそのものやWHO基準に近い年齢別BMIのzスコアを用いたモデル、欠測値を補完した分析、選択の偏りを重みで調整した分析でも、著者らは同じ結論が得られたと報告しています。

この研究が示すこと

著者らは、2004〜2011年のCHNSのこの分析対象において、測定された行動は多様な組み合わせを形づくっていたものの、選ばれたプロファイルは、調整後には同時点の体重の状態を独立して区別しなかったと結論づけています。単純に比べれば差があるように見えても、年齢や地域、社会経済的な背景を考慮に入れると、その差は説明されてしまったということです。

同時に著者らは、この知見は歴史的かつこの標本に限られたものであり、現在の全国的なプロファイルの分布を示すものとしても、プロファイルに基づく介入の有効性を裏づけるものとしても解釈すべきではない、と明確に述べています。この時期に測れた画面視聴は主にテレビや従来型のゲームであり、その後に広がったスマートフォンや動画、複数画面の環境は含まれていません。行動の組み合わせを一つの型としてとらえる分析が、どこまで何を語れるのか——その慎重な見極めこそ、この研究が伝えている内容だといえます。

著者:Boao Qin(School of Physical Education, Yanshan University)、Changyang Wang(School of Physical Education, Yanshan University)、Yuchen Zhang(School of Physical Education, Yanshan University)、Linwei Sheng(School of Physical Education, Yanshan University)、Xiaobo Jiang(School of Physical Education, Yanshan University)、Chen Cheng(School of Physical Education, Yanshan University)、Yukuo Wang(School of Physical Education, Yanshan University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Boao Qin, Changyang Wang, Yuchen Zhang, et al. Physical activity, entertainment screen time, and dietary fat profiles and concurrent weight status among school-attending Chinese children and adolescents: CHNS 2004–2011. Frontiers in Public Health 2026-09-28. DOI: 10.3389/fpubh.2026.1945546. 原著ライセンス:CC BY.