日本掲載:本論文はJ-STAGEに掲載されています。
掲載誌:日本食品科学工学会大会講演要旨集
ライセンス: CC BY-NC-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: JaLC
マヨネーズのような乳化食品をつくるには、醸造酢が原料の一つとして使われています。醸造酢の発酵は、麹による高分子分解、酵母によるアルコール発酵、酢酸菌による酢酸発酵という3段階を経て進みます。麹(Aspergillus oryzae)は多様な酵素をつくり出す力を持つことから、古くからさまざまな発酵食品づくりに利用されてきました。
近年は、米麹や酒粕といった麹菌を含む食品について、酵素や栄養素としての価値に加えて、セラミドや抗酸化活性、便通改善効果など、麹菌体そのものが持つ健康への効果にも関心が集まっているといいます。こうした背景から、この研究では乳化食品への麹菌の利用をさらに広げることを目指し、微細化した麹菌の分散性・乳化性・そしてその安定性を高める条件が検討されました。
麹菌を乳化に使う際の壁
麹菌には、キチングリカンを主成分とする細胞壁をはじめ、水に溶けにくい成分が多く含まれています。このため麹菌をそのまま使うと液体への分散性に乏しく、液体状の調味料に加えるのが難しいという課題があったとされています。麹菌など糸状菌を細かく砕くことで液体への分散性が上がり、乳化性につながるという報告はすでにあるものの、微細化だけでは分散性・乳化性の向上に限りがあり、さらに改善する余地が残されていたということです。
セルロースとの組み合わせで見えた変化
そこでこの研究では、微細化した麹菌を用いた乳化について、他の原料と組み合わせた場合の効果が調べられました。その結果、セルロースを併用すると、乳化した際にできる粒子の径が小さくなり、乳化状態の安定化が高まる可能性が見出されたということです。さらに、この効果は麹菌とセルロースを特定の比率で組み合わせたときに、より強く現れることも明らかになったと報告されています。
この研究はキユーピー株式会社に所属する著者らによってまとめられました。
著者:Wataru Urushibata(Kewpie Corporation)、Tetsuya Tetsuya Miyamoto(Kewpie Corporation)、Daisuke Kodama(Kewpie Corporation)、Taichi Shiraogawa(Kewpie Corporation)
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Wataru Urushibata, Tetsuya Tetsuya Miyamoto, Daisuke Kodama, et al. 微細麹菌体の乳化および乳化安定性の評価. 日本食品科学工学会大会講演要旨集 (2025). DOI: 10.3136/aamjsfst.72.0_301. 書誌情報取得元:JaLC(J-STAGE掲載資料・外部リンクなし)。