ぶどう糖が多い食品」を並べると、上位はどれも似た顔ぶれに見えます。しかし中身をよく見ると、同じ「ぶどう糖食品」でも甘みの主役が違う場合があることがわかります。

まず、ぶどう糖とは何かを簡単に確認しておきます。ぶどう糖(グルコース)は糖質の一種で、体内では脳や神経組織、赤血球など、通常はぶどう糖しかエネルギー源として利用できないとされる組織にエネルギーを供給する役割を担っています。脳は体重の2%程度の重さしかありませんが、総基礎代謝量の約20%を消費すると考えられており、その分のエネルギーはぶどう糖でまかなわれています。なお、ぶどう糖そのものについては、日本人の食事摂取基準に推奨量や目安量といった数値の基準は設定されていません。個別の糖として量的な基準がないだけで、体内での役割自体は上記の通りです。

上位5食品はほぼ同じ顔ぶれ

日本食品標準成分表(八訂)でぶどう糖の含有量(可食部100gあたり)を見ると、上位5食品は次の通りです。

数字だけ見ると、上から順にぶどう糖の量が減っていくシンプルなランキングです。しかし、それぞれの食品の中で「ぶどう糖以外にどんな糖が入っているか」を見比べると、話はそう単純ではありません。

1〜3位は名前通り、ぶどう糖が主役

ぶどう糖 無水結晶含水結晶全糖は、いずれも糖類の内訳を見るとぶどう糖が大部分を占め、他に含まれるのは麦芽糖がごくわずか(全糖では2.7g)というレベルです。名前も中身も「ぶどう糖そのもの」といえる食品で、甘みの主役は間違いなくぶどう糖です。ちなみにぶどう糖の甘みは砂糖の60%程度とされ、水に溶けやすい性質があることから砂糖漬けなどにも使われます。ただし脂質ナトリウムはほぼゼロで、糖分としての密度が高い食品です。

4位で早くも果糖が肉薄

ところが4位の異性化液糖 ぶどう糖果糖液糖になると、様子が変わります。ぶどう糖40.8gに対して、果糖が26.7gも含まれているのです。名前に「ぶどう糖」が先に来てはいますが、果糖の存在感はもう小さくありません。この食品は利用可能炭水化物(単糖当量)も75gと多く、清涼飲料などの甘味づけに使われる糖液であることがうかがえます。

5位のはちみつでは、ついに逆転する

そして5位のはちみつでは、順位が逆転します。糖類の内訳は果糖39.7g、ぶどう糖33.2gで、果糖の方が多いのです。つまり「ぶどう糖が多い食品ランキング」の5位に入っているにもかかわらず、この食品の甘みの主体は果糖ということになります。果糖は温度が低いほど甘みを強く感じる性質があるとされ、冷やして食べる菓子などに使われます。はちみつは花の種類によって香りや味が異なり、市販品の多くは数種類の蜜をブレンドしたものです。なお、1歳未満の乳児にはちみつを与えると乳児ボツリヌス症のおそれがあるとされており、加熱調理をしても防げないため、1歳を過ぎてから与えることとされています。

まとめ:順位が下がるほど、果糖の影が濃くなる

1位から3位までは「ぶどう糖の塊」と呼べる食品でしたが、4位で果糖がぶどう糖に迫り、5位のはちみつでは逆転してしまう。これが、今回のランキングを貫く隠れた糸です。「ぶどう糖が多い」というランキングの見出しだけを見ると、上位の食品はどれも同じ甘さの正体を持っているように錯覚しがちですが、実際には順位が下がるほど果糖の存在感が増していくという流れがあります。買い物や料理で糖の種類を気にするなら、含有量の順位だけでなく、その食品の中で何の糖が一番多いのかまで見てみると、思いがけない発見があるかもしれません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準