著者の所属・活動拠点の国は、アメリカ、フランスです。

掲載誌:BMC Public Health

ライセンス: CC BY-NC-ND 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

住まいを失い、シェルターなどで生活する家族にとって、食料支援(フードパーセル)は日々の食事を支える重要な手段です。しかし、こうした緊急支援がどのような家庭で利用されやすく、また子どもの食生活とどう関わっているのかは、これまで十分に調べられてきませんでした。今回、フランスで実施された調査データをもとに、この点を検討した研究が報告されました。

研究チームは、2013年にパリ都市圏のシェルターを利用していた家族を対象とした「ENFAMS調査」のデータを用いています。ランダムに選ばれた801世帯のうち、6~12歳の子どもがいる235世帯分の食事データが解析対象となりました。調査は17の言語に対応した対面形式で行われ、子どもの食事内容は15項目からなる食品頻度調査票で把握されています。あわせて、家族の経済状況や社会的なつながりといった社会生態学的要因、そして調査前1か月間のフードパーセル利用状況も収集されました。子どもの食事内容については、主成分分析という統計手法によってあらかじめ導き出された5つのパターン――「多様型」「野菜・乳製品型」「即食型」「でんぷん質型」「ファストフード型」――が用いられ、フードパーセルの利用有無との関連が、階層ポアソン回帰・線形回帰という統計手法で分析されました。

フードパーセルを利用しやすいのはどのような家庭か

調査対象となった親のうち、約60%が調査前1か月にフードパーセルを利用していたと報告されています。利用のしやすさには家庭の状況が関係しており、フランス語の運用能力が低いこと、フランス滞在期間が17か月未満と短いこと、所得が低いこと、失業していること、在留資格が正規化されていないこと、そして周囲からの社会的支援が乏しいことが、利用と関連する要因として挙げられています。

子どもの食事パターンとの関連

子どもの食事パターンとの関連を見ると、フードパーセルを利用している家庭の子どもは、「野菜・乳製品型」の食事パターンのスコアが低い傾向にあったと報告されています(β=-0.40、95%信頼区間[-0.76;-0.04])。これは、野菜や乳製品を中心とした食事を子どもが摂る頻度と、家庭のフードパーセル利用との間に、負の関連が見られたことを示すものです。

この研究をどう読むか

著者らは、緊急食料支援への依存が、言語の壁や在留資格、経済的困窮、社会的孤立といった、根深い社会経済的・社会文化的な課題と結びついていると考察しています。そのうえで、食料支援そのものの栄養の質を高める工夫や、支援プログラムのあり方を見直す必要性を指摘しています。ただし、この研究は横断的なデータに基づくものであり、フードパーセルの利用と食事パターンの関連が示されたとしても、そこから一方が他方の原因であると結論づけることはできません。また、パーセルに実際にどのような食品が含まれていたか自体は、この調査では調べられていない点にも著者らは言及しています。

今回の結果は、パリ都市圏という特定の地域・時期の家族を対象とした一つの調査から得られたものであり、この一つの研究だけで結論が確定したわけではありません。ホームレス状態にある家族への食料支援を考えるうえで、支援の「量」だけでなく「内容」や、それを取り巻く社会的な背景にも目を向ける必要性を示す手がかりとして受け止めるのが妥当でしょう。

まとめ

この研究では、パリ都市圏のシェルターで暮らす家族を対象に、フードパーセルの利用状況と、それに関連する社会生態学的要因、そして子どもの食事パターンとの関連が調べられました。言語能力や在留資格、経済状況などがフードパーセル利用と関連していたこと、そして利用家庭の子どもでは野菜・乳製品を中心とした食事パターンのスコアが低い傾向にあったことが報告されています。横断的な調査という限界を踏まえつつ、緊急食料支援のあり方を考える一つの資料として位置づけられます。

原著論文の著者・所属:Alexandra Descarpentrie(Department of Pediatrics, The Saban Research Institute, Children’s Hospital Los Department of Pediatrics, The Saban Research Institute, Children’s Hospital Los, Department of Pediatrics, The Saban Research Institute, Children’s Hospital Los, Los Angeles, CA, USA)、Stéphanie Vandentorren(Inserm, UMR1219, Université de Bordeaux, Bordeaux, 33000, France)、Nicole Darmon(CIRAD, CIHEAM-IAMM, INRAE, IRD, Institut Agro, MOISA, Université de Montpellier, Montpellier, France)、Caroline Méjean(CIRAD, CIHEAM-IAMM, INRAE, IRD, Institut Agro, MOISA, Université de Montpellier, Montpellier, France)、Sandrine Lioret(Université Paris Cité and Université Sorbonne Paris Nord, Inserm, INRAE, Center for Research in Epidemiology and StatisticS (CRESS), 75004, Paris, France)

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Alexandra Descarpentrie, Stéphanie Vandentorren, Nicole Darmon, et al. Use of food parcels among families experiencing homelessness: socio-ecological correlates and associations with children’s dietary patterns. BMCパブリックヘルス (2026). DOI: 10.1186/s12889-026-29141-y. 原著ライセンス: cc-by-nc-nd.