日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:Journal of Food and Nutrition Sciences

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

研究チームは、白トリュフ(Tuber magnatum)の菌糸体抽出物を摂取したとき、糖や脂質の代謝、ホルモン、免疫に関わる指標がどう変化するかを調べました。菌糸体とは、菌が糸状に伸びて増殖したものです。

背景には、菌糸体抽出物の投与によって、動物でホルモンの一種であるDHEAが増加したという著者らの先行研究があります。今回はヒトを対象に、体内の状態を一定に保つ調節因子と、代謝の状態を示す検査値への影響を検討しました。

何を、どのように調べたか

対象は、慢性疾患のない成人20人で、男性12人、女性8人、平均年齢は54.2歳でした。全員が人工培養した白トリュフの菌糸体抽出物を含むゼリーを、朝食と夕食の約30分前に1包ずつ、12週間摂取しました。1包には菌糸体2.8グラム相当の抽出物が含まれていました。

研究チームは摂取前後で、体重や血圧、血糖、血中脂質、肝臓・腎臓に関わる検査値に加え、ホルモンや免疫細胞の働きを比較しました。また、ブドウ糖を飲んだ後の血糖の推移も測定しました。抽出物を摂取しない別の群との比較ではなく、同じ参加者の摂取前後を比べる研究です。

さらに、一定期間の血糖の状態を反映するHbA1cを用いて参加者を分け、開始時の値が高い8人と低い12人で、検査値の変化に違いがあるかを調べました。

主な報告結果

12週間後には、DHEA、活性型ビタミンDの一種である1,25-ジヒドロキシビタミンD3、糖や脂質の代謝に関わるアディポネクチン、血糖調節に関わるインスリンが、摂取前に比べて統計的に有意に増加しました。免疫細胞の一種であるナチュラルキラー(NK)細胞の活性も有意に上昇し、一方でテストステロンは有意に低下しました。

ただし、参加者全体では、中性脂肪やLDLコレステロールなどの代謝に関わる指標に明確な変化は認められませんでした。ブドウ糖を飲んだ後の血糖値は各測定時点で低下しましたが、その変化は統計的に有意ではありませんでした。

開始時のHbA1cが高い群では、体重、体脂肪、中性脂肪、総コレステロールなどが低下する傾向があり、低い群とは異なる動きが見られました。ただし、多くの指標で群間の差は統計的に有意ではありませんでした。肝臓の状態を調べる酵素ASTとALTは高い群で低下し、その変化量には群間で有意な差がありました。

20人全員が研究を完了し、摂取期間中に観察された有害事象は報告されませんでした。

この報告が示すこと

著者らは、菌糸体抽出物が代謝の検査値を直接改善するというより、体内の状態を調節するホルモンや免疫の働きに関わることで、間接的に代謝へ作用する可能性があると解釈しています。

一方、どの成分が働くのか、ホルモンや免疫の変化がどのような仕組みで起きるのかは未解明としています。また、HbA1cが高い人で代謝状態を改善する効果についても、確認が必要だと述べています。この報告の中心は、代謝の改善を確立したことではなく、その調節に関わる因子の変化をヒトで捉えた点にあります。

原著論文の著者・所属:Tetsuya Konishi(Faculty of Applied Life Sciences, Niigata University of Pharmacy and Medical and Life Sciences, Niigata, Japan)、Rakan Matsui(Risaraopt Co. Ltd, Osaka, Japan)、Kennichi Watanabe(Faculty of Medicine, Niigata University, Niigata, Japan)、Ken Usami(Niigata Beer Co. Ltd, Niigata, Japan)、Akinori Iguchi(Faculty of Applied Life Sciences, Niigata University of Pharmacy and Medical and Life Sciences, Niigata, Japan)、Saori Nakagawa(Department of Clinical Engineering and Medical Technology, Niigata University of Health and Welfare, Niigata, Japan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tetsuya Konishi, Rakan Matsui, Kennichi Watanabe, et al. The Truffle (T. Magnatum) Mycelium Modulates Homeostasis Regulators: An Open Human Study. Journal of Food and Nutrition Sciences(出版社:Science Publishing Group) 2026-08-10. DOI: 10.11648/j.jfns.20261404.14. 原著ライセンス:CC BY.