著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Microbiology Spectrum
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
非チフス性サルモネラは、特に5歳未満の子どもに大きな影響を及ぼす食中毒の原因菌です。研究チームは、小児の感染について体系的な研究が限られていた中国・海南省で、どのような菌の系統が広がり、抗菌薬への耐性を持っているかを明らかにしようとしました。
何を、どのように調べたか
研究チームは、2023年4月から2024年5月に海南省の女性・小児医療センターで子どもから採取された非チフス性サルモネラ77株を、過去にさかのぼって解析しました。抗菌薬が効くかを調べる検査と、菌の遺伝情報全体を読み取る解析を組み合わせ、菌の種類、薬剤耐性、系統間の近縁関係や地理的な広がりを調べました。
主な報告結果
77株のうち66株(85.7%)は3歳未満の子どもから分離され、感染は夏と秋に多くみられました。腸管外へ感染が広がる侵襲性感染は8例(10.4%)でした。菌は16の血清型と、遺伝情報による16の配列型に分類され、最も多かったのは単相性の血清型1,4,[5],12:i:-に属するST34系統の31株(40.3%)でした。この31株のうち23株(74.2%)が複数の抗菌薬に耐性を示しました。また、菌の間で移動しうる遺伝物質であるプラスミド上に、カルバペネム系抗菌薬への耐性に関わるblaNDM-5遺伝子や、チゲサイクリンへの耐性に関わるtet(X4)遺伝子が見つかりました。系統解析では、海南省のST34株は中国に特有の系統群に属し、近年増えていることが示され、国際的な伝播の証拠も検出されたと報告されています。
この報告が示すこと
著者らは、海南省の小児の感染対策には、地域で広がる菌の系統と薬剤耐性を捉えた監視が重要だと結論づけています。耐性遺伝子が菌の間で広がるリスクも踏まえ、抗菌薬の慎重な使用と、人・動物・環境の健康を一体として考える「ワンヘルス」の取り組みが必要だとしています。
※本記事は原著論文の抄録だけで作成しています。
原著論文の著者・所属:Huaiyu Jia(Hainan Women and Children's Medical Center, Haikou, China)、Tao Chen(Department of Clinical Laboratory, Zhejiang Cancer Hospital; State Key Laboratory for Diagnosis and Treatment of Infectious Diseases, National Clinical Research Center for Infectious Diseases, China-Singapore Belt and Road Joint Laboratory on Infection Research and Drug Development, National Medical Center for Infectious Diseases, Collaborative Innovation Center for Diagnosis and Treatment of Infectious Diseases, The First Affiliated Hospital, Zhejiang University School of Medicine)、Xiaozhuang Zhang(Hainan Women and Children's Medical Center, Haikou, China)、Guozhen Tian(Hainan Women and Children's Medical Center, Haikou, China)、Min Wang(Hainan Women and Children's Medical Center, Haikou, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Huaiyu Jia, Tao Chen, Xiaozhuang Zhang, et al. Genomic epidemiology and antimicrobial resistance of non-typhoidal Salmonella in children in Hainan Province, China. Microbiology Spectrum(出版社:American Society for Microbiology) 2026-09-23. DOI: 10.1128/spectrum.01502-26. 原著ライセンス:CC BY.