健康志向の高まりを背景に、ビタミン剤やコラーゲン、グルコサミンといった健康食品・サプリメントを日常的に取り入れる高齢者は少なくありません。こうした製品は健康維持や老化対策への期待から選ばれることが多い一方、実際に将来の介護リスクとどう関係するのかは、これまで十分に検証されてきませんでした。今回紹介する研究は、日本の一般高齢者を対象に、健康食品・サプリメントの摂取状況と、その後の要介護状態になるリスクとの関連を長期にわたって調べたものです。
どのような調査が行われたか
この研究は前向きコホート研究という手法で行われ、地域の健康診断を受けた65歳以上の住民8,216人(男性50.1%、平均年齢69.2歳)を対象に、健康食品・サプリメントの摂取状況を調査したうえで、その後9年間にわたり要介護状態になるかどうかを追跡しました。調査地は山形県で、研究チームには日本国内の研究機関に所属する著者が名を連ねています。摂取していた健康食品・サプリメントの内訳としては、ビタミン類、植物由来の製品、コンドロイチン・グルコサミンやコラーゲンを含む製品が多く挙げられていました。
研究でわかったこと
調査対象者のうち1,989人(24.2%)が何らかの健康食品・サプリメントを摂取していました。摂取していたグループは、非摂取グループと比べて女性の割合が高く、喫煙や飲酒の割合、持病の有無、服薬している人の割合は低い傾向がみられました。つまり、もともと生活習慣や健康状態が比較的良好な人ほど、健康食品・サプリメントを利用しやすい傾向があったといえます。
こうした背景の違いを統計的に調整したうえで分析したところ、3種類以上の健康食品・サプリメントを併用していたグループでは、要介護状態になるリスクが有意に高いという関連が認められました。また、複数の成分を含みながら内容の情報が限られている「分類不能」な製品を利用していた場合も、要介護状態になるリスクの上昇と関連していたことが報告されています。
この研究の位置づけと読むうえでの注意
この研究は、あくまで摂取状況とその後の要介護状態との「関連」を統計的に示したものであり、健康食品・サプリメントの摂取そのものが要介護状態を引き起こす、あるいは特定の成分に問題があると証明したものではありません。研究チームも、複数の健康食品・サプリメントを摂取することについては注意が必要だと述べるにとどめています。一つの地域住民を対象としたコホート研究の結果であり、この結果だけで結論が確定したわけではない点には留意が必要です。
まとめ
今回の研究では、日本の高齢者において健康食品・サプリメントを利用する人の割合が一定程度高いこと、そして3種類以上の併用や内容が分類しにくい製品の利用が、9年間の追跡で要介護状態になるリスクの上昇と関連していたことが示されました。健康食品・サプリメントを取り入れる際には、種類や組み合わせについて慎重に考える視点が参考になりそうです。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:三春摩弥, 奈都子 鈴木, 力 邵, et al. Association between intake of health foods/supplements and long-term care in the general elder population: the Yamagata cohort study. 学術機関リポジトリデータベース(IRDB) (2026). DOI: 10.15022/0002001865. 原著ライセンス: cc-by-nc-nd.