菓子パンやスナック菓子、清涼飲料水など、工業的な加工を重ねて作られた「超加工食品」は、世界的に食生活の中で存在感を増しています。フィリピンでもこうした食品の消費が増えているとされ、肥満や高血圧といった生活習慣病の増加と時期が重なっていることから、両者の関係に関心が寄せられてきました。今回、マニラの若者を対象に、超加工食品の習慣的な摂取と血圧、体格、体脂肪との関連を調べた研究が、学術誌「エクスプロレーション・オブ・フーズ・アンド・フーダミクス」に2026年8月に掲載予定です。
研究チームはColegio de San Juan de Letran Manilaの栄養学・食品科学の研究者らで構成されています。
どのような調査が行われたか
調査は2025年6月から12月にかけて、マニラ市イントラムロス地区に住む16〜30歳の360人を対象に実施されました。16〜19歳を「青少年」、20〜30歳を「若年成人」として2つの年齢層に分け、横断的な調査(ある時点での状態を一度だけ調べる方法)として行われています。対象者の選定にはOpenEpiという統計ソフトを用いてサンプルサイズが算出され、脱落を見込んで計423人を募集した上で最終的に360人のデータが解析されました。
超加工食品の摂取状況は、「Screening Questionnaire of Highly Processed Food Consumption(sQ-HPF)」という質問票をフィリピンの食事情に合わせて改変したものを使い、管理栄養士3名と食品科学の専門家1名が内容を確認した上で調べられました。身体測定には、身長計(SECA社製)、体脂肪計(タニタ社製)、非伸縮性のメジャー(SECA社製)が用いられ、身長・体重・ウエスト周囲径・ヒップ周囲径からBMI(体格指数)、体脂肪率、ウエスト対身長比(WHtR)、ウエスト対ヒップ比(WHR)、そして体形の指標であるABSI(A Body Shape Index)が算出されました。血圧は非水銀式の血圧計と聴診器を用いて測定されています。身体活動量は国際的に使われる質問票(IPAQ-SF)で評価されました。
超加工食品の摂取と体格・体脂肪の関連
全体では、対象者の52.22%が「中程度」の超加工食品摂取に分類され、31.95%が「高摂取」、15.83%が「低摂取」でした。年齢層別に見ると、青少年(16〜19歳)は高摂取の割合が38.15%と、若年成人(20〜30歳)の26.20%より高く、逆に若年成人では中程度摂取の割合(55.08%)が青少年(49.13%)より高いという違いが見られました。また、青少年の超加工食品摂取スコアの平均は9.43、若年成人は8.60でした。
単変量(他の要因を調整しない)のロジスティック回帰分析では、BMIで「肥満」に分類された若年成人は、BMIが正常な人に比べて超加工食品を高摂取している確率(オッズ比)が2.65倍でした(95%信頼区間1.13〜6.20)。体脂肪率で「肥満」に分類された人は、正常な人に比べてオッズ比が2.45倍(95%信頼区間1.40〜4.29)、ABSIが高い人は正常な人に比べてオッズ比が1.65倍(95%信頼区間1.05〜2.59)という結果でした。一方で、血圧の分類、青少年のBMI、WHtRやWHRについては、超加工食品の摂取量との間に統計的に意味のある関連は見られませんでした。平均値の比較では、超加工食品の高摂取群は低・中摂取群に比べて身長がやや低く(161.80cm対163.70cm)、ABSIの値が高い(0.12対0.106)という違いも報告されています。
この研究を読むうえでの注意点
著者らは、この研究の解析が「調整なし」のロジスティック回帰である点を明確な限界として挙げています。年齢・社会経済状況・食事内容・生活習慣といった他の要因を統計的に取り除いていないため、体脂肪やABSIと超加工食品摂取の間に見られた関連が、他の共通要因によるものである可能性は否定できません。また、横断的な調査であるため、超加工食品の摂取が先に起きて体脂肪の増加につながったのか、あるいはその逆や別の共通要因が背景にあるのかは、この研究のデータからは判断できないと著者らは述べています。超加工食品に多く含まれるとされる糖分・脂肪・食品添加物などが体脂肪の蓄積に関わる可能性は先行研究で指摘されているものの、その仕組み自体は今回の研究で直接検証されたものではありません。
まとめ
今回の調査では、マニラの若者の半数以上が超加工食食品を中程度以上に日常的に摂取しており、その中でも高摂取の人ほどBMIや体脂肪率、ABSIで「肥満」や「高リスク」に分類される確率が高いという関連が示されました。一方で血圧との関連は見られず、因果関係も明らかにされていません。著者らが強調するように、これは一時点の調査結果であり、今後は他の要因を調整した縦断的な研究によって、超加工食品の摂取と体格の変化の関係をより詳しく検証する必要があります。
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Melvin Bernardino, Jeanne Carla Bruce, Sheena Marie Napata, et al. Habitual intake of ultra-processed foods and its relationship with blood pressure, anthropometric measures, and health risks among Filipino youth. エクスプロレーション・オブ・フーズ・アンド・フーダミクス (2026). DOI: 10.37349/eff.2026.1010184. 原著ライセンス: cc-by.