この研究は、アメリカの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

自分の食事がどのくらい健康的だと思っているかという自己評価は「知覚された食事の質」と呼ばれます。これまでの研究では、この自己評価が高い人ほど心臓や代謝に関わる健康指標が良い傾向があると報告されてきました。ただし、自己評価はたいてい「あなたの食事は全体としてどのくらい健康的ですか」という一つの質問で測られています。

著者らによると、米国の成人は自分の食事の質を実際より高く見積もりがちで、食事の質が低い人のおよそ4分の1が自分の食事を健康的だと考えているという報告もあります。健康的な食事の捉え方は個人の事情や文化によって異なるため、一つの質問だけでは自己評価を十分に捉えられない可能性があります。研究チームは、知覚された食事の質を多面的に測る質問票を新たに作り、その測定道具としての性質を初めて検証することを目的としました。

質問票の作り方と調べ方

研究チームはまず、計27人が参加するグループインタビューを行い、人が自分の食事を評価するときに何を考えるかを分析しました。その結果や既存の調査票、文献をもとに11項目の候補を用意しました。食事の健康度を「とても良い〜悪い」の言葉で答える項目、学校の成績のようにAからFで評価する項目、1から10の数字で評価する項目の3つに加え、食事への満足度、バランスの取れた食事の頻度、献立の計画や作り置き、栄養の知識、自炊と外食の割合、食品表示の利用、健康的に食べることの難しさ、食べ物の選択への罪悪感などを尋ねる項目です。

候補の項目は、栄養の専門家3人による確認と、地域の住民13人への聞き取りで、分かりやすさや答えやすさを点検したうえで修正されました。その後、米国のアーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州に住む605人を対象にオンライン調査を実施しました。

分析では、どの項目同士がまとまって一つの性質を測っているかを統計的に調べ、残す項目を選びました。さらに、従来の一問式の質問との一致度や、実際に測った食事の質との関係を調べました。実際の食事の質は、写真を選んでいく方式で普段の食事パターンを推定するツールから計算した米国の食事指針への適合度の指標と、前日に食べた食品群を尋ねる国際的な質問票から計算した世界的な食事推奨への適合度の指標の2つで評価しました。

主な結果

分析の結果、11項目のうち7項目が一つのまとまりとして残りました。言葉・成績・数字による3つの自己評価、食事への満足度、バランスの取れた食事、献立の計画や作り置き、栄養の知識です。罪悪感や健康的に食べることの難しさなどは最終的な尺度から外されました。7項目の合計点による尺度は6.5〜35点の範囲をとり、参加者の平均は22.6点でした。項目同士の一貫性を示す信頼性の指標は0.91と高い値でした。

新しい尺度は従来の一問式の質問と強く関連していました。一問式の質問そのものを除いて計算しても、相関係数は0.74でした。一方、実際に測った食事の質との関連は、米国の食事指針への適合度とは約0.31〜0.33で弱く、世界的な食事推奨への適合度とは0.51で中程度でした。

それでも、これらの関連は、従来の一問式の質問と実際の食事の質との関連(約0.25〜0.45)より総じて強い傾向がありました。統計的に意味のある差は、世界的な食事推奨への適合度では2回の測定の両方で、米国の食事指針への適合度では1回目の測定でのみ確認されました。なお、3つの自己評価の質問は調査票の最初と最後の2回尋ねられましたが、どちらの位置でもほぼ同じ結果でした。

この研究が示すこと

著者らは、新しい尺度が従来の一問式の質問よりも、自分の食事の質の自己評価をうまく測れる可能性があると結論づけています。ただし、実際の食事の質との関連は弱いから中程度にとどまっており、参加者は3州で集めた人々に限られ、回答はすべて自己申告です。この尺度を使うことで食事の自己評価がより正確になるかどうかは、まだ確かめられていない点として著者らも挙げています。

自分の食事をどう見ているかを一つの質問ではなく複数の側面から捉えようとするこの研究は、食事についての自己認識を測るための基礎となる道具を示したものといえます。

著者:Jessica Lee Thomson(Delta Human Nutrition Research Program, USDA Agricultural Research Service, 5832 I-49 N Service Road Suite 1, Opelousas, LA 70570, USA)、Alicia S. Landry(School of Kinesiology and Nutrition, The University of Southern Mississippi, 118 College Drive, Hattiesburg, MS 39406, USA)、Tameka I. Walls(School of Kinesiology and Nutrition, The University of Southern Mississippi, 118 College Drive, Hattiesburg, MS 39406, USA)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jessica Lee Thomson, Alicia S. Landry, Tameka I. Walls. Development and Psychometric Evaluation of the Perceived Diet Quality Questionnaire. Nutrients 2026-10-10. DOI: 10.3390/nu18203323. 原著ライセンス:CC BY.