掲載誌:CyberLeninK (CyberLeninka)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite

研究の目的

ザクロの果汁には、糖や有機酸、色や渋みに関わるフェノール化合物など、多くの成分が含まれています。ただし、その含有量は品種によって異なります。アゼルバイジャン技術大学の研究チームは、国内で栽培されている伝統品種と新しい品種のザクロについて、果汁の基本的な品質指標を比べました。各品種がジュースなどの加工原料としてどれほど有望かを見極めることが目的です。

対象は8品種です。伝統品種は、ギョイチャイ地方で栽培されているナジク・カブク、バラ・ムルサル、イリデネ、ベレスの4品種です。新品種は、ギョイチャイ園芸・亜熱帯植物研究所で栽培されているゲシェン、イェニ・ギュレイシャ、アラシュ、ガラ・ローザの4品種です。

何を測ったのか

著者らは各品種から果汁をとり、標準的な分析方法で成分を測りました。測定項目は次のとおりです。

可溶性固形分は、糖などの水に溶けた成分が果汁にどれだけ含まれるかを示す割合です。総糖と転化糖も測りました。転化糖は、ブドウ糖と果糖を合わせたものを指します。滴定酸度は果汁に含まれる酸の量の目安です。このほか、フェノール化合物とビタミンCも測定しました。フェノール化合物は色素のアントシアニンなどを含む成分群で、色や渋みに関わります。

さらに新品種については、総糖を滴定酸度で割った「糖酸比」の目安も計算しました。糖酸比は、甘さと酸っぱさのバランスを表す指標です。

主な結果

伝統品種の中では、イリデネが多くの項目で最も高い値を示しました。可溶性固形分は17.4%、総糖は14.4%、転化糖は12.7%、ビタミンCは100グラムあたり7.6ミリグラムです。一方、滴定酸度は1リットルあたり1.50グラムで、4品種の中で最も低い値でした。フェノール化合物は1リットルあたり1.3グラムで、ナジク・カブクと並んで最も多い値でした。ナジク・カブクは酸度も最も高く、1リットルあたり2.3グラムでした。

新品種では、品種ごとの特徴がよりはっきり分かれました。アラシュは可溶性固形分が18.2%、総糖が16.0%で、どちらも最も高い値でした。ゲシェンは酸度が1リットルあたり0.66グラムと非常に低く、ビタミンCは100グラムあたり8.2ミリグラムで最も多い値でした。ガラ・ローザは対照的で、糖が比較的少なく、酸度は1リットルあたり2.40グラムと最も高く、フェノール化合物も1リットルあたり1.22グラムと新品種の中で最も多い値でした。イェニ・ギュレイシャは多くの項目で中間的でしたが、転化糖は14.0%で最も高い値でした。

著者らが計算した糖酸比の目安は、ゲシェンが約23.3、アラシュが約16.3、イェニ・ギュレイシャが約7.8、ガラ・ローザが約5.7でした。この結果から著者らは、ゲシェンは甘く酸味の少ない味、ガラ・ローザは酸味の強い味になると推測しています。なお、この研究では味そのものを官能評価で確かめたわけではなく、味の違いは成分値から導いた推測です。

研究が示すこと

この研究は、同じ国で育つザクロでも、品種によって果汁の成分がはっきり異なることを示しました。著者らは、甘いジュースの原料としてはゲシェンとアラシュが有望だと述べています。一方、ガラ・ローザは酸味が強くフェノール化合物も多いため、はっきりした味わいが求められる加工品に向く可能性があるとしています。品種ごとの成分の違いを知ることで、用途に合わせて原料を選ぶ手がかりになるという研究です。

原著論文の著者・所属:Омаров Я. А.、Набиев А. А.、Касумова А. А.

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Омаров Я. А., Набиев А. А., Касумова А. А.. ИССЛЕДОВАНИЕ ФИЗИКО-ХИМИЧЕСКИХ ПОКАЗАТЕЛЕЙ ГРАНАТА. CyberLeninK (CyberLeninka) 2026-09-09. DOI: 10.24412/2712-8849-2026-9102-359-373. 原著ライセンス:CC BY.