著者の所属・活動拠点の国は、南アフリカです。

掲載誌:Applied Food Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

トウモロコシの粉で作る粥は、南部アフリカで広く食べられている主食です。一方で、たんぱく質の質や、ミネラル・ビタミンなどの微量栄養素の面では限界があるとされています。

研究チームは、この粥の栄養を補う材料として、野生のスイカ(学名 Citrullus lanatus)の果肉と種を一緒に粉にしたものに着目しました。この粉を加えることで、粥の栄養成分、植物に含まれる機能性成分(フィトケミカル)、粘りや硬さといった物理的な性質、さらに味わいの評価がどう変わるかを調べています。

何を調べたか

著者らは、トウモロコシ粉と野生スイカ粉を重量比で100対0、75対25、50対50、25対75、0対100の5通りに混ぜた粉を用意し、それぞれで粥を作りました。トウモロコシ粉だけのもの(100対0)が比較の基準です。

そのうえで、たんぱく質・脂質・繊維・灰分(ミネラル分の目安)・水分などの基本成分、カルシウムやカリウムなどのミネラル、ビタミン、抗酸化に関わる成分、アミノ酸の組成を分析しました。あわせて、粥の粘りや硬さなどの食感を測定し、人が実際に食べて好ましさを評価する官能評価も行いました。

主な結果

論文によると、野生スイカ粉の割合を増やすにつれて基本成分の構成がはっきり変わり、たんぱく質、粗繊維、灰分、水分が多くなりました。半分ずつ混ぜた50対50の配合では、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リンの量が、トウモロコシ粉だけの粥と比べて30〜65%増えたと報告されています。

ビタミンA、ビタミンC、ポリフェノール類の総量、抗酸化活性も高まりました。体内で作れず食事からとる必要がある必須アミノ酸、とくにリシンとヒスチジンの濃度も上がっています。一方で、脂質、でんぷん、炭水化物、エネルギー量は減少しました。

食感の面では、粘り、硬さ、まとまりやすさが大きく低下しました。著者らは、その理由をでんぷんが薄まったためではないかと仮説として述べています。官能評価では、50対50の配合が最も高い評価を得ました。

この研究が示すこと

今回の結果は、野生スイカの果肉と種の粉を加えると、トウモロコシ粥の成分が栄養面で充実する方向に変わり、半分ずつの配合では食べる人の評価も高かったことを示しています。

ただし著者らは、原料そのものの成分比較の基準や、栄養素が実際に体にどれだけ吸収・利用されるかはまだ明らかにしていないと述べています。そのうえで、今回の成分分析の結果から、野生スイカ粉は栄養を高めたトウモロコシ食品づくりに役立つ、持続可能な材料として有望だとまとめています。

原著論文の著者・所属:Lebogang Rachel Maboa(Department of Life and Consumer Sciences, University of South Africa, Corner of Christiaan de Wet and Pioneer Avenue, Florida, Roodepoort 1710, South Africa)、Frederick Tawi Tabit(Department of Life and Consumer Sciences, University of South Africa, Corner of Christiaan de Wet and Pioneer Avenue, Florida, Roodepoort 1710, South Africa)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lebogang Rachel Maboa, Frederick Tawi Tabit. Valorisation of wild watermelon (Citrullus lanatus) flour for improving the nutritional, functional, and sensory quality of maize-based porridges in Southern Africa. Applied Food Research 2026-08-07. DOI: 10.1016/j.afres.2026.102495. 原著ライセンス:CC BY.