著者の所属・活動拠点の国は、サウジアラビア、イギリスです。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、ギリシャとキプロス共和国の学校で、食生活や栄養状態の改善を目指してどのような取り組みが行われ、どのような結果が報告されているかを整理しました。背景には、両国で子どもや青少年の過体重・肥満が大きな健康課題となっていることがあります。

個々の取り組みの内容や実施方法、評価された項目を幅広く見渡す「スコーピングレビュー」として、栄養教育だけでなく、食事の提供や、栄養と身体活動を組み合わせたプログラムも扱いました。

何を、どのように調べたか

研究チームは13の文献データベースや出版社の検索サービスを使い、2026年4月までに公表された文献を検索しました。見つかった論文の参考文献も確認し、英語の査読付き論文から、学校で栄養に関する介入を行い、その結果を測定した研究を選びました。栄養面の取り組みを含まない運動のみの研究や、英語以外の文献、政府報告書などは対象から除きました。

採用されたのは21研究で、ギリシャが19研究、キプロス共和国が2研究でした。子どもや青少年を対象とした研究に加え、教師の栄養知識などを扱った研究も1件含まれています。介入期間は1か月から6年まで幅があり、終了直後に評価したものから、終了後10年まで追跡したものまでありました。

各研究では、食事内容、栄養知識、身長・体重などの身体計測値、身体活動、血圧、十分な食料を確保できない状態などが調べられていました。介入前後の変化や介入を受けない集団との差を調べた研究のほか、食事提供と栄養教育の組み合わせを栄養教育だけと比べた研究もありました。対象を無作為に割り付けた試験と明記されていたのは3研究で、その他は対照群のある、またはない介入前後の比較などでした。

主な報告結果

著者らによると、栄養教育の研究では、栄養知識、地中海食に沿った食べ方、食事に対する態度、一部の食品の摂取に改善が報告されていました。無作為化試験でも、対照群より果物の摂取量が多くなった研究や、牛乳・ヨーグルト、果物、野菜などの摂取が増えた研究がありました。一方、週ごとの食品摂取に群間差がなかった研究や、エネルギー・栄養素の摂取量に有意な差がなかった研究もあり、結果は一様ではありませんでした。

食事支援では、健康的な食事の提供後に、十分な食料を確保できない状態が減ったとの報告がありました。また、学校などの集団単位で無作為に割り付けた試験では、食事提供と栄養教育を組み合わせた群の方が、栄養教育だけの群よりも、この状態を示す指標が改善しました。

複数の研究で、BMIや腹囲、身体活動、血中脂質、血圧にも好ましい変化が報告されました。ただし、すべての評価項目で改善が見られたわけではありません。参加者の脱落が多く、栄養知識や食行動が改善したか判断できなかった研究もありました。

キプロス共和国の2研究はいずれも食事に関する好ましい結果を報告しましたが、そのうち1研究では身体計測値に有意な変化はありませんでした。著者らは、同国の結果を、研究数の多いギリシャとは分けて慎重に解釈しています。

この報告が示すこと

研究チームは、このレビューを、学校の栄養教育や食事支援を検討する際に、地域で実施されてきた取り組みと評価内容を把握するための見取り図と位置づけています。どの方法が他より効果的かを確定するものではありません。

対象研究は、参加者、実施期間、内容、測定項目などの違いが大きく、結果を数値として統合したり、直接比較したりすることが困難でした。また、研究方法の質や結果に偏りが生じるリスクを正式には評価しておらず、英語の査読付き文献に限ったため、地域の言語で公表された取り組みなどは含まれていません。著者らは、キプロス共和国の研究が少ないことも踏まえ、介入の有効性や優劣について強い結論は出せないとしています。

原著論文の著者・所属:Abeer Salman Alzaben(Department of Health Sciences, College of Health and Rehabilitation Sciences, Princess Nourah bint Abdulrahman University)、Abrar Turki(Clinical Nutrition Department, College of Applied Medical Sciences, University of Hafr Al Batin)、Essra A. Noorwali(Clinical Nutrition Department, Faculty of Applied Medical Sciences, Umm Al-Qura University)、Asmaa M. N. Fatani(Department of Food and Nutrition, Faculty of Human Sciences and Design, King Abdulaziz University)、Mahitab A. Hanbazaza(Department of Food and Nutrition, Faculty of Human Sciences and Design, King Abdulaziz University)、Sara Alharbi(Department of Clinical Nutrition, Medical Cities Services, Riyadh, Saudi Arabia)、Basil H. Aboul-Enein(Faculty of Public Health and Policy, London School of Hygiene & Tropical Medicine; Health & Society Program, College of Arts & Sciences, University of Massachusetts Dartmouth)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Abeer Salman Alzaben, Abrar Turki, Essra A. Noorwali, et al. School-based nutrition interventions conducted in Greece and the Republic of Cyprus: a scoping review. Frontiers in Nutrition 2026-11-03. DOI: 10.3389/fnut.2026.1965834. 原著ライセンス:CC BY.