著者の所属・活動拠点の国は、メキシコです。

掲載誌:Ibero Ciencias - Revista Científica y Académica

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

不安と食事の関係を既存研究から調べる

研究チームは、競技前の不安と栄養摂取が競技成績にどう関わり、両者がどのように影響し合うのかを調べるため、既存研究を体系的に整理しました。メキシコの全国スポーツ大会「CONADE」に出場するゲレロ州の選手への示唆を得ることも目的としています。ただし、同州の選手を直接調査した研究ではありません。

著者らは四つの学術検索サービスを使い、2016~2026年に発表された英語・スペイン語の文献を検索しました。段階的な選別を経て19論文を採用し、不安、栄養摂取、競技成績に関する知見をまとめました。

心配や否定的な考えと、身体に表れる不安の違い

レビューでは、心配や否定的な考えとして表れる「認知的不安」は、成績の低さと一貫して関連すると報告されています。一方、動悸、発汗、筋肉の緊張など、身体に表れる「身体的不安」と成績の関係は、競技や選手の特徴によって異なりました。

例えば、取り上げられたレスリング選手の研究では、成績のよい群のほうが身体的不安と自信の水準が高い一方、失敗への不安や競技不安全体は低いという結果が示されました。著者らは、身体の高ぶりを選手がどう受け止めるかも重要であり、不安が常に成績の悪化につながるわけではないと説明しています。

栄養摂取と不安がつながる可能性

栄養面について著者らは、十分なエネルギーと適切な炭水化物・たんぱく質の摂取、ビタミンやミネラルの不足を補うことが、筋力、持久力、運動後の回復を支えるとまとめています。一部の競技者集団では、エネルギーや複数の栄養素の不足が報告されていました。

さらに論文は、不安と食事を別々に扱うだけでは捉えきれない関係を指摘しています。競技前に何を食べるかという判断自体が緊張の原因になる「栄養不安」に加え、脳と腸が相互に情報をやり取りする「脳腸相関」にも着目しました。レスリング選手で不安と腸内細菌の構成との関連が報告されていることなどを踏まえ、著者らは、不安と栄養が行動面・生物学的な経路を通じて影響し合う可能性を論じています。

心理と栄養を切り離さずに捉える

著者らは、採用した研究の多くが一時点での状態を調べるもので、因果関係を判断するには制約があるとしています。また、メキシコの選手で競技前の不安、栄養摂取、競技成績の三つを同時に測定した研究は含まれていませんでした。

このレビューが伝えるのは、競技成績を考える際に、心の状態と食事の状態を切り離さずに見る重要性です。著者らはゲレロ州の選手支援についても、心理面と栄養面を一体として扱うことを提案しています。

原著論文の著者・所属:Esperanza Lizbeth Garay Ortiz(Universidad Autónoma de Guerrero)、Pavel Gallardo Bernal(Universidad Autónoma de Guerrero)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Esperanza Lizbeth Garay Ortiz, Pavel Gallardo Bernal. Influencia de la ansiedad precompetitiva y la ingesta nutricional sobre el rendimiento físico: una revisión sistemática con proyección al contexto de los atletas de los Juegos Nacionales CONADE en Guerrero. Ibero Ciencias - Revista Científica y Académica 2026-10-31. DOI: 10.63371/ic.v5.n4.a1799. 原著ライセンス:CC BY.