この研究は、カナダの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

大学生になると一人暮らしを始め、食費のやりくりや調理、日々の自己管理を自分で担うようになります。著者らは、こうした変化によって大学生の食生活が不十分になりやすいと考えました。これまでの研究でも、朝食を抜く、ファストフードや加工度の高い食品、砂糖入り飲料をよくとるといった傾向が大学生に多いと報告されています。

では、栄養学を学んでいる学生は国の食事指針に沿って食べているのでしょうか。研究チームによると、この点はよく分かっていませんでした。そこで、栄養学の入門講義を受けた大学生を対象に、食品のとり方(主目的)と栄養素の摂取量(副目的)を調べました。あわせて、体格指数(BMI)、身体活動の程度、喫煙といった生活習慣も調べています。論文自身は、この研究を小規模な探索的研究と位置づけています。

何をどう調べたか

分析に使ったのは、2015年と2016年の夏に栄養学入門講義を受けた学生が課題として提出した3日分の食事記録です。記録は平日2日と週末1日の分で、研究のために新たに集めたものではありません。既存の課題を後から分析する二次分析です。個人を特定できる情報は第三者がすべて取り除いていました。提出者は108人で、データの不備、混合料理の入力ミス、妊娠中、19歳未満などの理由で40人分を除き、68人分を分析しました。内訳は、記録上で自分を女性とした44人と男性とした24人です。この性別は本人の申告であり、生物学的な性と社会文化的な性のどちらを指すのか、研究チームは区別できなかったと述べています。

比較の基準には、調査当時に使われていた2011年版のカナダ食事ガイドを用いました。このガイドは食品を「野菜と果物」「穀物製品」「牛乳と代替品」「肉と代替品」の4群に分け、年齢と性別ごとに1日に推奨されるサービング数(食品の標準的な量の単位)を示していました。現在の2019年版は、皿の半分を野菜と果物にするといった皿の配分で示す形式に改められており、2011年版は旧版にあたります。

学生は計量カップやスプーンなどを使って各食品群のサービング数を見積もり、19〜50歳の推奨量以上なら「十分」と判定しました。栄養素の摂取量は栄養計算ソフトで推定しました。さらに、標準的な式で計算した推定エネルギー必要量と、記録から推定したエネルギー摂取量も比べています。

主な結果

植物性食品が不足している学生が目立ちました。野菜と果物を十分にとっていたのは、男性24人中3人、女性44人中16人にとどまりました。穀物製品でも割合はほぼ同じでした。全体としては、7割を超える学生が植物性食品を十分に食べていませんでした。

一方、動物性食品の状況はそれほど深刻ではありませんでした。肉と代替品を十分にとっていたのは全体の76%(男性79%、女性75%)です。牛乳と代替品は46%で、男性24人中7人、女性44人中24人でした。

栄養素では、男女の間に統計的に意味のある差がいくつも見られました。男性は女性に比べて食物繊維、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンAの摂取量が少なく、ナトリウム、コレステロール、飽和脂肪の摂取量が多いという結果でした。喫煙の割合も男性で高くなっていました。

記録上のエネルギー摂取量は、男女とも推定必要量を下回りました。身体活動レベル別に見た比率は、女性で0.53〜0.88、男性で0.68〜0.81です。報告された摂取量は身体活動の程度とも見合っていませんでした。著者らは、食事記録でよく見られる「摂取量の過少申告」が関係している可能性を挙げています。また、活動的な生活を送っていると答えた学生は約35%で、残る約65%は座りがちか活動量が少ない状態でした。

この研究が示すこと

著者らは、栄養学に関心をもって学んでいる学生であっても、国の食事指針どおりに食べているとは限らないことがこのデータから読み取れると述べています。特に、野菜・果物や穀物といった植物性食品の不足が男女に共通していました。

ただし、データは自己申告に基づいており、研究チームは記録の正しさを確認できませんでした。対象者の数が少なく、栄養学の講義を受けた学生という偏りのある集団であることから、結果をより広い成人集団にそのまま当てはめられるとは限らないと著者ら自身が述べています。また、この研究は、こうした食べ方や活動量の少なさが生じる理由を調べるようには設計されていません。食事指針が知識として届いていても、実際の食べ方に結びつくとは限らない。この研究は、そのことを身近な例で示しています。

著者:Mohammed H. Moghadasian(Canadian Centre for Agri-Food Research in Health and Medicine, St. Boniface Hospital Albrechtsen Research Centre, Winnipeg, MB R2H 2A6, Canada)、Hibah Khawar(Canadian Centre for Agri-Food Research in Health and Medicine, St. Boniface Hospital Albrechtsen Research Centre, Winnipeg, MB R2H 2A6, Canada)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mohammed H. Moghadasian, Hibah Khawar. Patterns of Food Consumption of a Sample of College Students Using Superseded Canada’s Food Guide. Foods 2026-09-18. DOI: 10.3390/foods15183307. 原著ライセンス:CC BY.