7月、青果売り場の緑がひときわ濃くなる。オクラ 果実 生の露地物は5月以降に国産の入荷が増え、7月にちょうどピークを迎える。11月を過ぎると輸入品に切り替わっていくので、今はまさに露地栽培オクラの盛りである。角切りにして刻めば、あの独特の粘りが糸を引く——この食感こそが、オクラという野菜の一番のごちそうだ。

刻むと粘りが出るのが、オクラの大きな特徴だ。粘りのもとは水溶性食物繊維で、なかでもペクチンなどの成分がぬめりを作り出している。可食部100gあたりの食物繊維総量は5gで、そのうち1.4gが水溶性食物繊維にあたる。エネルギーは100gで26kcalと軽く、たんぱく質2.1gは女性30〜49歳の推奨量50g/日の約4%にあたる。この水溶性食物繊維は、こんぶ・わかめ・こんにゃく・果物・熟した豆など、ぬるぬる、ねばねば、さらさらとした食感を持つ食品に多く含まれる成分の仲間である。食物繊維全般については、食事摂取基準において目標量が設定されており、不足しがちな栄養素として位置づけられている。糸を引く食感の奥にこうした働きが控えているのはちょっとした発見だ。

※特定の食品の効果を示すものではありません。

刻み方で変わる、オクラの表情

薬味として小口切りにして冷奴にのせれば、粘りが調味料のように全体に絡む。丸ごと下ゆでして輪切りにすれば粘りは控えめで、シャキッとした食感が残る。同じ野菜でも切り方次第で粘りの出方が変わるのは、刻むと粘りが出るというこの野菜の特徴のあらわれだろう。数本刻んでも軽い一皿に収まる。オクラは緑黄色野菜でもあり、β-カロテンも含む。夏の食卓に彩りを添える存在として、めかぶや納豆といった他のねばねば食品と和えると、粘り同士が響き合う一皿になる。

保存のコツは「切らない」

買ってきてすぐ食べきれない分は、塩を振ってへたを切らずにまるごと冷凍するのがよい。へたを切ってしまうと、そこから水溶性の栄養が流れ出てしまうためだ。冷凍のまま保存すれば目安として1カ月ほどもち、冷蔵なら4日ほどが目安になる。解凍しても食感は生とほとんど変わらないというから、旬の盛りにまとめて冷凍しておけば、輸入品に切り替わる11月以降も、あの粘りをそのまま楽しめるわけだ。ちなみに薬膳の考え方では、オクラは体の熱を鎮める食材に分類されるという。刻むと糸を引く野菜が、暑さの盛りに出回るというのも、季節の巡り合わせとしてなかなか出来ている。

今年もオクラの粘りが濃くなる季節がやってきた。次に包丁を入れるときは、切り方ひとつで表情を変えるこの野菜を、ちょっと意識して味わってみたい。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準