著者の所属・活動拠点の国は、フィンランドです。
掲載誌:Food and Environmental Virology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
保存温度と感染力の持続を調べる
研究チームは、ボトル入り飲料水にウイルスが混入した場合、感染力がどれほど長く残るのかを調べました。長期間の保存に着目し、冷蔵、常温、高温に相当する条件で、3種類のウイルスを比較することが目的です。
実験には、人に胃腸炎を起こすウイルスの代わりに、培養して調べられるマウスノロウイルス、アカゲザルロタウイルス、ブタサポウイルスを使いました。市販のボトル入り飲料水にそれぞれを加え、4℃、25℃、37℃で、光を避けて保存しました。研究チームは定期的に試料を採取し、培養細胞に感染できるウイルスがどれだけ残っているかを測定しました。
冷蔵では2種類が1年後も感染力を維持
4℃では、マウスノロウイルスとアカゲザルロタウイルスは、量が減ったものの、保存開始から365日後にも感染力が確認されました。一方、ブタサポウイルスは次第に減少し、55日目には検出されなくなりました。
25℃では、アカゲザルロタウイルスは240日目、マウスノロウイルスは80日目まで感染力が確認され、それぞれ320日目、160日目には検出限界を下回りました。ブタサポウイルスは20日目には検出限界を下回りました。
37℃では感染力の低下がさらに速く、アカゲザルロタウイルスは80日目、マウスノロウイルスは20日目、ブタサポウイルスは10日目には検出されなくなりました。これらは測定した時点での結果であり、感染力が失われた正確な日を示すものではありません。また、検出されないことは、測定法で確認できる量を下回ったことを意味します。
冷蔵保存だけでは感染力は失われない
著者らは、今回の条件では温度が高いほど感染力の低下が速く、ウイルスの種類によって持続期間にも違いがあったと報告しています。ただし、使ったのは動物由来の代替ウイルスで、人に感染するウイルスと同じ持続期間を示すとは限りません。また、各ウイルスの初期量や調製方法は同一ではありませんでした。
この研究は、市販品の汚染状況を調査したものではなく、ウイルスを加えた実験です。その結果は、汚染が起きた場合、ボトル入り飲料水では冷蔵しても感染力が長く残り得ることを示しています。著者らは、清浄な原水の確保、適切な水処理、監視の重要性を指摘しています。
原著論文の著者・所属:Ziwei Zhao(Department of Food Hygiene and Environmental Health, Faculty of Veterinary Medicine, University of Helsinki, Helsinki, Finland. [email protected])、Leena Maunula(Department of Food Hygiene and Environmental Health, Faculty of Veterinary Medicine, University of Helsinki, Helsinki, Finland)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ziwei Zhao, Leena Maunula. Long-Term Survival of Human Enteric Virus Surrogates (Murine Norovirus, Rhesus Rotavirus, and Porcine Sapovirus) in Bottled Drinking Water. Food and Environmental Virology 2026-09-24. DOI: 10.1007/s12560-026-09710-5. 原著ライセンス:CC BY.